「あしたのまち・くらしづくり2006」掲載
<食育推進活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 主催者賞

女性パワーを核とした“砺波型”地産地消の推進―学校給食で食農教育を支援―
富山県砺波市 となみの農産物生産グループ協議会
学校給食への地場野菜供給を始めるまでの経緯

(1)砺波市管内では、昭和60年頃から農地の受委託や営農の組織化が進み、余剰化した労力で野菜作りに取り組む女性グループが増加し、これらのグループを中心に協議会を設立しました。

(2)平成3年に、輸入農産物の農薬問題でグループ内から、新鮮で安全な地元の野菜を学校給食の食材に活用する提案が出されたので、普及センター、グループ連絡協議会や砺波市学校給食センターの協力を得、試行的に月2〜4回学校給食への食材供給を始めました。

(3)その後、この活動が徐々に拡大してきたので、このシステムがより安定するように計画的な野菜栽培や供給体制を確立しました。

(4)また、学校給食への食材供給が定着してきたのを機会に、学校給食センターと連携して子どもたちに「地元産野菜」を認識させ、農業に関心をもたせる食農教育に取り組みました。

(5)出荷規格や出荷方法を統一し、野菜の搬入システムを確立
@出荷回数や数量が増えてくると規格や出荷方法にバラツキが目立ち、学校給食センターから苦情が出たため、生産者と給食センターの意見を取り入れ、出荷規格や出荷方法の統一を図りました。
Aグループ内に学校給食センターと連絡調整をする窓口担当を置くとともに、JAに代金決算を委託しています。
B出荷容器を「通いコンテナ」にして、生産者は出荷用資材と出荷作業が軽減でき、給食センター側も段ボールや袋等が不要となり、ゴミの減量化ができました。

(6)計画的な作付けや営農組合など地域との連携で、年間供給体制を確立
@給食センターの利用計画に合わせて、計画的に供給できるよう栽培講習会を開催し、野菜の作付け計画や栽培技術の向上を図っています。
A野菜栽培に取り組む営農組合や中核農家もメンバーに加え、柿やりんご等の果物やハウスを利用した軟弱野菜やネギなど多品目の出荷ができるようになり、地域と連携した食材の供給体制を確立しました。
B学校給食のメニューに、干しなす・大根等の乾物や郷土料理を加えられたことにより、品数の少ない冬場の品目が拡大し、年間を通じて供給できるようになりました。

(7)直売活動や地域特産品の育成の支援
@野菜栽培をするグループ員や品目も増加したことから、平成9年に農産物直売所「散居の店」の開設、野菜の販路拡大につなげています。
A農産加工品にも力を入れ、各種のイベントに参加し、地元特産品の育成と販路拡大を図っています。

(8)学校給食を通じた食農教育
@「給食だより」に食材を供給している生産者が紹介されたり、給食時間に野菜作りの説明や珍しい野菜を調理前に展示するなど、子どもたちに野菜に対する関心を高めています。
A平成15年から、学校給食に地元の野菜を出荷している様子や子どもたちが野菜作りを取材する「学校給食子供特派員報告」、親子でグループ員の野菜作りを手伝う「農業ヘルパー」等の活動を行なっています。
 また、これをビデオで収録・編集して学校に提供し、砺波市内の幼稚園・小中学校で給食時間に放映してもらい、子どもたちの地元野菜への関心や地域農業への理解を高める食農教育を支援しています。


主な成果


(1)学校給食で地元野菜を利用する「砺波型」地産地消の体制ができた。
 となみの農産物生産グループ協議会が月2〜4回から始めた学校給食への食材供給量は、現在、32品目、25.6トンとなり、学校給食センターで使用する約4400食の野菜量の20%を占めています。
(2)地域との連携や計画的な作付けで年間供給体制ができた。
 野菜の栽培講習会等で計画的な作付けができるようになり、またグループ間で栽培する野菜の割り振りや営農組合等の参加で、年間を通じて食材を供給しています。
(3)食農教育の支援で、給食の残食が減少。
 平成14年から、学校給食センターと連携して始めた食農教育の成果が徐々に現れ、給食で生徒が残す野菜量が減少してきています。
(4)女性グループ員の地産地消活動や食農教育支援活動を地域に紹介。
 普及センターで撮影、収録していただいたグループ員の地産地消活動・「学校給食子ども特派員報告」・「農業ヘルパー」の支援活動がCATVやNHKに放映され、地域住民の関心が高まっています。
(5)資源リサイクル活動の開始。
 一昨年新築された学校給食センターに野菜くずを細断、脱水する施設ができたのを機会に、食材を供給するグループ員がこの野菜くずを引き取り、堆肥化して野菜栽培に利用する資源リサイクル活動を行なっています。


活動の喜び

(1)学校給食に招待され、子どもたちより感謝状やお礼の品物をいただくなど今後の栽培の励みになっています。
(2)給食便りに栽培者の写真が掲載されたり、「学校放送で紹介されたよ」と子どもたちが教えてくれます。
(3)会員たちは新鮮で美味しい野菜をより多く納入したいと栽培講習会を開催し給食センターの期待に応えたいと張り切っています。