「あしたのまち・くらしづくり2006」掲載 |
<企業の地域社会貢献活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞 |
西友のコミュニティ活動 |
東京都北区 株式会社西友 |
すべての人が快適に利用できるよう、地域に開かれた店舗を目指し、地域への貢献活動を積極的に行なう―これは地域に根ざした店舗を運営する小売業にとっての使命である。 西友が持続可能な社会の実現に向けて、「環境」だけではなく「商品」、「アソシエイト」、「コミュニティ」を加え従来の環境方針を『西友CSR方針』として一新した。お買い物の場としてだけではなく、地域のみなさまのコミュニケーションの場、使用済み容器包装の回収拠点などとして、店舗を様々な形で地域への貢献に活用するとともに、各店舗は地域のイベントにも積極的に協力・参加をしている。お客さまをはじめ、コミュニティとの対話と協働を重視し、良好で健全な関係を築きながら持続可能な社会の実現に貢献することを西友の社会に対する責任と認識している。 西友がこれまで取り組んできた主なコミュニティ活動としては、エコ・ニコ学習会、募金活動、地域イベントの参加などが挙げられる。 エコ・ニコ学習会 西友の「エコ・ニコ学習会」は全国約400の店舗を使った体験学習プログラム。いつも何気なく買い物をしているスーパーマーケットには、環境問題や社会の仕組みを学習する素材に溢れている。小学4年生~6年生の子どもたちを対象に、10~20人程度のグループで学習会を実施し、親子やクラスでの参加も可能なため、大人も一緒になって子どもと考える時間を楽しむ。学習内容は、私たちの生活に深く関わっている環境問題・福祉・食の安全への取り組み、スーパーマーケットの仕組みなどで、子どもたちの感性に働きかける学習会を目指し、店舗の店長をはじめ、従業員やスタッフが進行している。この活動を通じて、全アソシエイト(西友で働く全ての人々)の環境問題に対する高い関心にも繋がっている。 「エコ・ニコ学習会」は、学校やクラス単位での参加が年々増加し大半を占めるようになってきた。この要因は、子どもたちが自ら体験し、考える力や生きる力を身につけるための「総合的な学習の時間」を利用し、社会体験を授業に取り入れる学校が増えたこと、またその学校側のニーズに「エコ・ニコ学習会」プログラムが合致していると考えられる。子どもは、「関心を持つ(親しむ・気づく)」→「理解する(知る・考える)」→「行動する(実践する・守る)」という段階を踏んでものごとを学ぶ。学習会はこの学習過程にあわせながら柔軟にプログラムを組み立て、参加者の希望に応じてクイズやゲームを盛り込むなど、子どもの関心・理解の段階に応じたプログラムを提供している。 「エコ・ニコ学習会」は今年で9年目。これまで学習会に参加した小学生は延べ7万2000人以上と確実に定着してきた。2005年度の参加人数は延べ2万2373人と、前年度の1万6063人と比べ大幅に増加した。実施回数は全国で793回。また、西友グループ約400店舗のうち半数の店舗が1回以上学習会実施を目標として、環境教材の配布、報告の仕組みの整備などを進めてきた結果、2005年度の実施率は65.3%と目標を大きく上回る結果となった。各店舗が独自のアイデアを出しながら学習会を作り上げ、好事例については情報共有を行なうことによって、グループ全体での取り組みの活性化に繋がっている。 参加した小学生や教職員からお礼の手紙をいただくこともある。以下、その一例。 「ぼくは、西友に行っていろんなことがわかりました。西友は、10個のゴミにわけていることや、西友の1日にだされるゴミの量が少ないこともわかりました。いろんな物にゴミはなるんだなと初めて知りました。(中略)これからは、リサイクルを少しずつやっていきたいと思います」(エコ・ニコ学習会に参加した小学生の感想) 「西友で見学したことを基に、家庭でできるエコをテーマとした調べ学習をし、発表会をしました。(中略)今では家の中で、お母さんやお父さんよりもエコに詳しくなって『電気のスイッチは…』とか『水は…』とか家庭のエコに大活躍していると保護者会で聞きました。大成功です!!」(エコ・ニコ学習会に参加したクラス担任の感想) 西友はさらに、子どもたちの広がる興味・関心に応えるため、店舗で実施する学習会から一歩前へと進めたプログラムを実施した。 店舗で行なっていた学習会のフィールドを生産地にまで広げた「生産地エコ・ニコ学習会」は、毎日食べている食べ物の美味しさの秘密や、安全で安心な食品を食卓に届けるための生産者の日々の努力を伝えることによって、食べ物の大切さを感じてもらう。子どもたちは、しいたけの収穫の体験(2002年6月)や、合鴨農法の説明、田んぼの中の合鴨を見学する(2003年8月)など、普段都会では感じられない環境の中で、目を輝かせながら生産者の話に耳を傾けていた。 また自然の中で季節を感じながら学習する「森のエコ・ニコ学習会」もある。木で作った自作のお椀で流しそうめんを味わったり、木々の間にいる動物を観察する(2003年8月)など、みんなで力を合わせてものづくりや野外活動を大人と一緒になって楽しみながら学ぶ。子どもの笑顔が自然と溢れ出す学習会になった。 国内の活動だけでなく、海外に飛び出して地球規模でものごとを考えるきっかけの場として、2002年と2003年には「エコ・ニコ学習会inスウェーデン」を実施した。エコ・ニコ学習会に参加した全国の小学生の中から作文と面接で選抜された子どもたちが親善大使として、環境や社会福祉の先進国であるスウェーデンに訪問した。そこでは、ヨット体験や森林散策を楽しみ、リサイクルセンターの見学や、現地の小学生、ホームスティ先の人々と交流をするなど、自然と共生するスウェーデンの生活を体験し国際理解を進めた。 参加した子どもたちは、これらのプログラムを通して仲間と協力することを覚え、自分たちの社会・環境に対する強い思いを共有することによって、広く社会に呼びかけていくことの大切さに気づくことができたようだ。そして、その思いに突き動かされるように自ら行動を起こし始めている。その一つの成果が「エコ・ニコサミット」である。 このサミットは、「エコ・ニコ学習会inスウェーデン」に参加した親善大使の体験や、各地域で環境活動を実践する代表の子どもたちの活動発表の場として、自分たちが生きる未来の地球のために、今何ができるのか、何をしなければならないのかを話し合い、そこで出た意見を社会にむけて宣言する。「エコ・ニコサミット2003」で、子どもたちは「見せる、伝える、呼びかける。地球環境のために実践しよう」という共同宣言をまとめた。このメッセージは環境省が持ち帰り、同僚の方々にも呼びかけることを約束してくださった。2004年度は「みんなが自分たちの手で自然と調和した世界や平和な地球をつくってゆこう」、また2005年度は、「私達の街・国・世界のために二酸化炭素マイナス6%達成めざして、身近なことから広げてがんばるぞ」という宣言をまとめ発表し、子どもたちの意識の向上とともに私たちも一緒に考えて行動しなければならないことを実感させられた。 このような小さなことから少しずつ始める子どもたちの姿に刺激を受け、彼らに繋がる仲間や大人の意識も高まっている。こういった小さなつながりがますます広がっていくことを願い、西友はこれからも「エコ・ニコ学習会」を推進し、地域をはじめとする社会がよりサステナブルナな方向に向かっていくことに貢献し続ける。 NPOとも連携して学校での環境学習に協力している。例えば、NPO法人環境学習研究会(東京都中央区)や「Kids ISO プログラム」を世界に発信しているNPO法人国際芸術協力機構(東京都渋谷区)とパートナーシップを組み、「エコ・ニコ学習会」の開催や学校へ講師として招かれるなど、より多くの子どもたちの環境意識を高めるべく、幅広いネットワークを利用し活動を進めている。 募金活動 環境学習以外にも、募全活動に力を入れ地域貢献活動を継続・拡大している。ジャワ島地震やスマトラ沖地震、新潟県中越地震、兵庫県・京都府台風被害の際には、全店舗に募金箱を設置してお客さまへのご協力を呼びかけるとともに、従業員からも義援金を集め、日本赤十字社などを通して被災者の救済に役立ててきた。 またパキスタン北部地震や米国でのハリケーン「カトリーナ」被害の際にも、全店舗に募金箱を設置してお客さまへのご協力を呼びかけた。盲導犬育成募金も今年で4年目となった。2005年度には、全国盲導犬施設連合会から長年の協力に対して感謝状をいただいた。 地域イベントの参加 行政や地域の団体が主催するイベントに協力するなど、地域貢献活動を積極的に参加し、継続してきた。たとえば、2005年6月に、愛知県春日井市が主催する「2005くらしに活かす生活展」にザ・モール春日井店(同市)が協力。同市市民ホールの展示コーナーで環境に配慮した包装や省エネ・省資源など店舗や全社での取り組みを紹介した。 2005年11月に、平塚店(神奈川県平塚市)で「地球環境世界児童がコンテスト優秀作品展2005」を共催。財団法人日本品質保証機構・国際認証機関ネットワーク主催「第6回地球環境世界児童画コンテスト」の優秀作品70点を展示し、西友の共催は3回目となり、たくさんのお客さまに来ていただいた。 |