「あしたのまち・くらしづくり2007」掲載
<まち・くらしづくり活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

みんなと一緒にできること
群馬県安中市 地域づくり団体未来塾
未来塾の概要

 1989年10月1日、民間団体が活躍することで地域を元気にしようという目的で設立、発足時の会員は10数名であったが、現在は約80名、市内だけでなく、周辺市町村からも集ってきている。年齢層も10代から70代までと幅広く、職業も会社員、自営、主婦、学生などである。「みんなと一緒にできること」を提案し、実践を続けている。
 現在は主に、①地域活性化と環境を考えるイベント「フリーマーケットinあんなか」の企画開催、②年間を通じてのリユース推進活動「もったいない市」の開催、③里山の自然を取り戻す環境保護活動、④小学校のビオガーデン整備及び環境講話、⑤地域づくり情報交換会「欅の木の下で」の開催、⑥各種文化事業の開催、…等を行なっている。
 今回は前述の活動のうち、①フリーマーケットinあんなか、②もったいない市について述べたい。


地域活性化と環境を考える文化イベント「フリーマーケットinあんなか」の開催

 1992年より、春・秋に米山公園にて開催。第25回からは市スポーツセンターイベント広場も加えて開催。リサイクル、リユース問題と合わせ集うことの楽しさ、素晴らしさを感じ、市民一人ひとりが主役で元気になれる「おまつり」として開催。現在では地元の商店、企業等の参加できるブースも設けている。
 当日は手作り品、リユース品、産直野菜等々、地域の子供育成会等の団体や趣味の会、各種ボランティア団体、地域づくり団体、家族等による個性あふれるお店が2会場合わせて約400区画並び、来場者は毎回、1万5000名以上にのぼる。
 今までに出店延べ6970組、来場者延べ40万人。今秋、32回目を予定している。
ステージの主な催し
・各種コンサート・各種団体活動発表・ミニ手話講座・手作り紙しばい・各種ダンス・子供太鼓・空手実演・人形劇・語り部「民話を楽しむ会」・地元中学校美術部によるステージバック製作・生涯学習活動の発表(大正琴、フラダンス、エアロビクス等)
 …等々、延べ310組が出演している。
会場および周辺を利用した催し
・木工広場(廃材利用)・阪神大震災写真展および支援バザー・新潟県中越地震義援金カンパ活動・「赤い羽根」共同募金・ジャンボシャボン玉広場・ちびっこ広場・ヘリコプター遊覧・健康ウォーク・森と木のまつり(県林業イベント)、おもちゃの病院
 …等々、会場および周辺地域を利用し、家族で一日ゆっくりと楽しめるよう工夫をしている。
伝統文化に触れる「茶席(野点)」の開催
 会場内にある東屋にて地元茶道会により開催、毎回300名を超える方々が本格的な日本文化に気軽に触れている。今秋24回目を予定、今まで延べ6900名が楽しんでいる。最近では小中学生が大人とともにお茶を楽しんでいる姿が見られるようになった。
公園の片すみから北関東一のフリーマーケットヘ!
 フリーマーケットを始めてから16年(31回)が過ぎた。当初「フリーマーケット」という言葉すら知られていない状況の中、知恵を出し合いつくりあげた催しが、今では、毎回、出店希望者が400名を超え、当日の来場は1万5000名を超える北関東一の規模といわれる催しに成長した。
 この催しの特徴は単に売買だけのフリーマーケットではなく、様々なイベントが組み合わされているので、一日中、子どもからお年寄りまでが楽しく、安心して、しかも、お金もあまりかからず遊べる利点がある。そのために、市外また県外からも足を運ぶ人が多く、開催前後は市内の商店街や名所、旧跡を訪ねる人や宿泊する人も見られ、安中を知ってもらう良い機会となっている。また、この日に合わせふるさと安中へ家族で帰省する人やボランティアスタッフもいる。
 この催しの最大の特色は、誰もが簡単に取り組むことができる「リユース」に着目し、活動を続ける中で「大量生産」「使い捨て時代」から「物を大切にし、使えるものはリユースしよう」という意識が徐々に高まり、様々な立場(出店、来場、ボランティアスクッフ、もったいない市寄付、各種協力)で参加するひとりひとりがリユースの実践者であり、環境ボランティアでもあるということである。
 また、毎回この取り組みには、10代から70代のお年寄りまでの約150名が、自分のできることでボランティアとして積極的に参加している。最近の傾向として横の繋がりはあっても異年齢の出合いや交流が極端に少なくなってきている中で、世代を超えてお互いに刺激しあえる経験はとても貴重なことであると思っている。このように「みんなと一緒にできること」を実践し、大人が本気で生きる姿勢や他人との関わり合いをきちんと見せることが、子どもたちにとって今一番必要なことなのではないだろうか。


リユース推進活動「もったいない市」の開催~福祉バザーから「もったいない市」へ~

 リユース推進活動の一つとしてフリーマーケット開催に合わせ主催者による「福祉バザー」を初回より開催。リユースの大切さを当日、会場での呼びかけや未来塾ニュース、講演等を通して市民にPRし、家庭で眠っている不要品や使用しなくなった物を寄付していただき、会場で販売、収益を市および社会福祉協議会へ寄付を続けている。
 この活動を16年間続けることにより、不要な物を直ぐにゴミステーションに出さない。自分にとって不要でも誰かの役に立てないかと「もったいない」と思う精神が市民のリユースに対する関心や意識を高めていった。その結果、時期を問わず寄付が集まるようになったため、寄付品の回収活動が徐々に年間を通じて行なわれるようになってきた。当初、年間、数10件だった寄付も今では年間400件を超えるまでになり、市内だけでなく、周辺市町村にお住まいの方からの申し出もかなり多くなってきている。寄せられる品物は贈答品、古着、雑貨、本、家具等、実に豊富で、その数も7000点以上にも及ぶ。
 現在、集まった品物の仕分け、値付け、販売が年間を通じて行なわれるようになっている。また、衣類の売れ残り、販売できない物などは最終的にボタンやウエス等に分別され使用されている。このように活動が大きな転換を迎え、2005年より「もったいない市」として独立した活動として現在に至っている。今秋のフリーマーケットで第10回を迎える。


「もったいない」の精神が地球を救う!

 この運動により生み出された収益は私たちの地域活性化や環境保護活動、地域の文化向上を目指した事業等の一部に、また、安中市および社会福祉協議会へ寄付している(総額310万円、車イス4台を寄贈)。
 モノがあふれかえる時代、数年前まではゴミステーションを見れば使えるものが当たり前のように捨てられていたが、この取り組みを始めてからは確実に減っている。今までゴミとして多額の税金を使い処分されていた品物が、必要な人にとっては大切な宝物になり、「もったいない市」の収益は、多くの人たちに色々な形で還元されている。
 また、寄付品を地元の保育園や学校、海外の難民支援等にも活用している。時には寄せられた品物を火事で焼け出された方に贈り、感謝されたこともある。最近では使わなくなったリコーダー、メロディオン、ハーモニカ等の楽器を寄付していただき、カンボジアフレンド協会を通じ、カンボジアの小学校に送り教材として有効に活用してもらっている。
 今、この活動は「もったいない品物」を寄付してくださる一人ひとりの社会貢献を実現させている素晴らしい活動となっている。そして、この誰もが簡単に参加できる取り組みが環境を守っていく大きな力となっているのである。