「あしたのまち・くらしづくり2007」掲載 |
<企業の地域社会貢献活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞 |
歴史と風格ある門前町の再生 |
滋賀県長浜市 ながはま御坊表参道商店街振興組合 |
はじめに ながはま御坊表参道は、古くから「御坊さん」の愛称で親しまれてきた真宗大谷派長浜別院・大通寺をシンボルとして、江戸時代から門前町として栄えてきた。商店街の近代化もいち早く、昭和34年には県下で2番目にアーケードが架けられるなど、当時はたいへんな活況ぶりを見せていた。しかしながら、昭和40年代に入ると、車社会の進展や大型店の郊外進出により、次第に往時の賑わいを失い、活性化への道を模索するようになった。 このような中、地元商店街の熱意と行政の支援により、大通寺という表参道のシンボルを活かした歴史と風格を感じさせる街並みに再生すべく、昭和63年から約2年間かけて、既存アーケード・パラペットの撤去、下水道埋設・石畳舗装工事、各店舗の統一ファサード改修工事(門前町風への改修と軒下のセットバック)が行なわれた。 これにより、表参道は門前町としての個性を特化させながら、多くの来街者を迎え入れるとともに、地域住民が誇りを持てる美しいまちへと蘇った。 活動の概要 ながはま御坊表参道の整備は、商店街復興に賭ける地域住民の強い意気込みが大きな原動力となっており、平成2年3月の完成以降、通りに賑わいを呼び戻すための様々な取り組みが続けられてきた。表参道入口には地元に伝わる「お花ギツネ」伝説にちなんだモニュメントが設置され、大通寺山門を照らすライトアップも完成した。さらに、表参道のシンボルである大通寺を活用しながら、平成2年から「大通寺馬酔木展」を、平成4年からは「表参道文化塾」を開催し、多くの市民や観光客で賑わうようになった。 また、ながはま御坊表参道を含む中心市街地への来街者については、整備当時の平成元年には20万人足らずであったが、同年7月の黒壁ガラス館オープンや平成3年9月のJR北陸線直流化の影響、さらには市街地商店街の魅力あるまちづくり活動の展開によって爆発的に増加し、今や200万人以上の来街者を迎えている。 年間を通して賑わうながはま御坊表参道は、多くの来街者を気持ちよくお迎えすべく、日ごろから各商店主が美しい街並みの維持に努めている。平成12年からは、通りにチューリップのプランター等を並べて潤いを与えるなど、歴史ある街並みと季節の彩りとを調和させた空間の演出に心がけている。これらの取り組みを行なうためには、日ごろの良好なコミュニティの維持・形成が何よりも重要であり、様々な行事をとおして地域住民同士の親睦と交流を図っている。 具体的な活動事例 (1)表参道文化塾の開催 安土桃山文化の香りを放つ表参道のシンボル・大通寺を舞台として、平成4年から「表参道文化塾」を開催し、津軽三味線、尺八、和太鼓、二胡などのコンサートを実施している。表参道の秋を文化と芸術で彩るイベントとして定着している。 (2)馬酔木展の開催 地元商店街のメンバーが丹精込めて育てた馬酔木を大通寺境内に並べて行なわれる「馬酔木展」。平成2年に始まったこのイベントは、いまや毎年約2万人の観光客が訪れ、表参道をはじめとする市街地を賑わわせる。 (3)ゆかたまつり夜市の開催 長浜の地場産業である浜ちりめんの振興を目的に開催される「ゆかたまつり」にあわせて夜市を出店。大通寺の夏中法要とあわせて、表参道も多くの市民や観光客で賑わう。 (4)チューリップまつりの開催 表参道を潤いのある通りに演出すべく、平成12年からチューリップのプランター等を並べ、来街者を楽しませている。 (5)その他 アートインナガハマやきもの園遊会、ゑびす講をはじめとする各種行事にも参加・協力し、表参道および中心市街地商店街全体の活性化のために取り組んでいる。 その他波及効果等 昭和62年から約3年かけて行なわれたながはま御坊表参道の整備は、郊外への大型店進出等により市街地から客足が遠のき、市街地各商店街の危機感が高まる中で、他の商店街に先駆けて行なった活性化事業であった。工事期間中の売上げ減少を覚悟したうえで改修工事を望んだ各商店主の強い意気込みと、アーケード撤去、石畳舗装工事、各店舗の統一改修工事により生まれ変わった歴史と風格ある街並みは、他の商店街のモデルとなり、中心市街地全体に大きな波及効果をもたらした。当時から約20年が経過した今もなお、ながはま御坊表参道の先進的なハード整備とユニークなソフト事業を参考にすべく、全国から多くの視察団が訪れている。 市内各商店街に先駆けて行なわれたながはま御坊表参道の整備は、北国街道、博物館通り、ゆう壱番街等の修景整備へと波及し、長浜のまち全体の魅力増進に大きく貢献した。 |