「あしたのまち・くらしづくり2008」掲載 |
<企業の地域社会貢献活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 内閣総理大臣賞 |
地域に根ざした活動 |
東京都港区 本田技研工業株式会社 |
活動方針 Hondaは創業以来、商品や技術を通じて社会やお客様に喜びを提供し、社会活動においては、地域との共生をめざした活動を展開してきました。1998年には、社会活動推進室が設置され、社会活動の三つの理念を制定し、様々な社会活動をすすめています。その活動理念とは、「地球的視野に立ち、“商品・技術”を通じて社会に貢献する」「良き企業市民として地域に根付き、社会的責任を果たす」「次世代のために、心豊かで活力のある人と社会づくりに努める」の三つです。そして、新たな活動に取り組むための方針となるのが活動方針です。これは、夢のある明日の社会づくりをめざして、「地域に根ざした活動」「子ども達の育成支援活動」「地球環境を守る活動」「交通安全の教育・普及活動」の四つがあります。社会活動推進室と各事業所(和光・埼玉・鈴鹿・浜松・熊本・栃木)の活動について、この活動方針に沿ってご紹介させていただきます。 地域に根ざした活動 Hondaは創業当初より、事業を展開する「地域との共生」をめざしてきました。この考えはHondaの社会活動理念にも受け継がれ、国内の事業所、販売会社やグループ会社、世界各地の拠点で、地域の特性にあわせた様々な活動を展開しています。 1 タッチ・ザ・ワールド Honda本社が位置する東京都港区周辺は、世界各国の大使館が多く立地する地域です。「タッチ・ザ・ワールド」は、この地域の特性を活かして、子どもたちに普段の生活ではできない体験を通じて新しい価値観を発見してもらいたいという思いから始まった地域交流イベントです。毎年3~5か国の大使館にご協力いただき、1999年から開催しています。イベントでは、子どもたちが特製パスポートを手に、各国ブースをまわって、その国の文化に触れながら、その国の言葉で挨拶をしてスタンプを押してもらうミニミニワールドツアーや、各国のパフォーマンスが繰り広げられるステージ、各国のゲームや歌そして民族衣装の試着などの文化を体験できるワールド体験コーナー、さらに日本文化紹介コーナーなどが用意され、様々な文化に触れて楽しむことができます。試食による食文化の紹介を、今年は「食べ物」を楽しみながら、世界の子どもたちに募金で役立てられることを意識してもらえたらと願い、「チャリティー」で行ない、ここで集まった募金は(財)日本ユニセフ協会に寄付されました。大人も子どもも一緒になって楽しむことができる「タッチ・ザ・ワールド」は毎年6月頃Hondaウエルカムプラザ青山で開催しています。今年で10周年を迎え、これまでご紹介した大使館は全部で41か国、来場者は約1万人を数えます。世界には、日本で触れ合える機会の少ない国がまだまだあります。今後も、子どもたちに世界の国の文化を紹介し、体験を通して関心を深めて新しい価値観を発見する、そんな身近な国際交流イベントとして役立ちたいと願っています。 2 大使館訪問 「タッチ・ザ・ワールド」で出会った国のことをもっと知りたい、という子どもたちに世界の国々への関心や好奇心をさらに深めてもらうことを目的に、今度は子どもたちが大使館を訪問する夏休み特別企画が「大使館訪問」です。「タッチ・ザ・ワールド」の参加大使館の協力で、子どもたちは実際の大使館に入ることができ、大使館に勤める外交官の方から、その国のことをはじめ大使館での仕事についてまで、いろいろな話を聞くことができます。また、自分で調べてきたことや、聞いてみたいことなどを取材し、レポートを作成します。大使館の方は子どもたちの自由な発想や、一生懸命調べてきた内容にとても驚いていました。大使館の方からは、「以前ならHondaといえば、シビック、アコード、バイクと即答したでしょう。でも今は、ASIMO等の技術、地域コミュニケーション、文化交流、未来をみる姿勢。そして車やバイク、と答えますね」というご感想をいただきました。 3 その他の活動 そのほかにも、国籍の違う子どもたちがフットサルを通じて国際交流するイベントの「港区国際フットサル大会」への運営協力や、“東京湾を泳げる海に!”を合言葉に、東京都港区に関連している団体や住民がボランティアとして参加し、お台場海浜公園を定期的に清掃する活動「東京ベイ・クリーンアップ大作戦」、都市部に住む人々にも森林や林業、国有林への理解を深めてもらうイベント「みどりの感謝祭」、“まちの美化と安全”を推進するために港区赤坂地区総合支所が主催する「青山1丁目クリーンキャンペーン」など地域の活動に協力をしています。 4 各事業所の活動 各事業所では、地域社会の環境美化活動に参加する「クリーン作戦」に協力し、2007年度には合計68回実施、5748人が参加しました。各地域の献血センターと協力した「献血活動」では、20回の実施で2256人が参加しました。また、会社宛の年賀状を回収し、当選したお年玉つき年賀はがきを選別して賞品に交換し社会福祉協議会などに寄付をする「年賀はがき回収」活動を行ない、2007年度は281枚が当選していました。また、“開かれた工場”をモットーに、1960年から工場見学の受け入れをスタートし、2007年度は8万6444人が参加しました。 そのほかにも、埼玉製作所では地域の方々に参加をしていただけるクリスマスイベントやスポーツ振興支援をしています。鈴鹿製作所では海岸清掃活動に参加し、熊本製作所は子育て応援イベントに協力しました。浜松製作所は、従業員と地域の大学生の共同プロジェクトで、手作りのゴーカートキット「やらまいカー」を使い、子どもたちにモノづくりの楽しさを体験してもらいました。栃木製作所では、製作所の近くの河川敷を清掃したり、障がいのある子どものいるご家族を対象とした熱気球体験活動の運営協力をしました。 また、災害発生時には国内外で支援を行なっています。 子どもたちの育成支援活動 Hondaの事業所のある地域で、地域に根ざした子どもたちの育成支援活動を行なっています。 ひとつはドリームハンズです。ドリームハンズは、Hondaの事業所のある地域の小学校や公民館で行なっている、Hondaオリジナルのダンボールクラフトを使った気軽に楽しみながら体験できるモノづくりの入門プログラムです。「自分の手でモノを作り上げる楽しさ・喜びを子どもたちに体験して欲しい」モノづくりの楽しさを次世代へ伝えていきたい、という思いから、Hondaの従業員やOBのボランティアスタッフが子どもたちのサポート役となり、この活動を行なっています。これをきっかけに子どもたち自身で「つくる楽しさ」をひろげて欲しいと願っています。 さらに、環境わごんという活動を行なっています。これは、ワゴン車に海や山の自然素材を積み込んで、Hondaの事業所のある地域の小学校や公民館などに出かけて行く出前型の環境学習プログラムです。HondaのOBボランティアスタッフが、自然の仕組みや環境保全の大切さをレクチャーし、木や石などの自然の素材を使ったクラフト作りなどを交えながら、子どもたちが自然や環境について、自ら気づいたり考えたりするお手伝いをしています。 そのほかにも、未来に“あったらいいな”と思うモノのアイデアを画用紙に描いて応募する「子どもアイデアコンテスト」の開催、「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」や、「全国中学生創造ものづくり教育フェア」「熱気球ジャパンホンダグランプリ」へ特別協賛しています。 地球環境を守る活動 地域社会と自然との共生をテーマに、地球的視野に立った活動を積極的に展開しています。 Hondaは、美しい地球の自然環境を次世代に引き継いでいくために、世界の各地域で環境の保全活動に取り組んでいます。そのひとつが、Hondaの技術と人の力を活用した「ビーチクリーン活動」です。人間がゴミを海岸に放置したり、人間が生活する中で出したゴミが世界の様々な場所から流れてきて、海流に乗り、世界各地の海岸へとうち上げられています。多くはビニールやプラスチックなど自然には還らないゴミであり、蓄積し続け、周囲の生態系を脅かし、環境を破壊していきます。ゴミで汚れた海岸を本来のきれいな姿に戻すには、人の手でゴミを回収するしかありません。Hondaビーチクリーン活動は「素足で歩ける砂浜を次世代に残したい」という従業員の思いから5年の歳月をかけて独自開発された、軽量コンパクト、シンプル構造、簡単操作の「牽引式ビーチクリーナー」を使い、従業員とOBのボランティアで編成されたキャラバン隊が地域社会と協力して全国の砂浜を清掃する活動です。 もうひとつの地域に根ざした活動として、国内「水源の森」保全活動があります。水道の蛇口をひねれば出てくる水は、山から海へと続く川によってもたらされます。源流にある森林は長い時間をかけて水を蓄え、川を育む「水源の森」であるほかに、きれいな空気を作ったり、地盤を安定させることで災害の発生を防ぐという役割を担っています。また、自然の素晴らしさを実感させてくれる豊かな癒しの空間も与えてくれます。Hondaは、事業所が立地する地域が恩恵を受ける水源の森において、従業員のボランティア参加による森林保全活動を積極的に実施しています。 交通安全の教育・普及活動 Hondaはより豊かなモビリティ社会の現実をめざし、様々な取り組みを行なっています。その中でも子どもたちを交通事故から守ることは、重要なテーマのひとつであると考えます。「交通安全キャラバン」は未就学児を対象として1999年にスタートし、事業所のある地域で、幼稚園や保育園を訪問しています。2007年度は、641園で7万6492人の子どもたちに体験していただきました。 今後も、各事業所をはじめ、全国に広がる販売会社やグループ会社は、企業市民として、それぞれの地域に根ざした社会活動を展開していきます。 |