「あしたのまち・くらしづくり2009」掲載 |
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞 |
下内野4WD計画による「かじかの里」づくり |
岩手県一関市 下内野自治会 |
活動の契機 下内野自治会は、清流砂鉄川の源流域に位置する典型的な中山間地帯であり、過疎化と高齢化の渦中にありながらも住民が一丸となり地域づくりに悪戦苦闘している自治会であります。 平成元年に自治会を設立し「結いの精神」に基づき地域づくり活動を展開してきましたが、平成6年には日本大学との交流から「石磨き大会」を開催し、「かじか」が棲めるように清流砂鉄川の水質保全等に取り組んできたところであります。 その後、大東町が平成9年に創設した「ふるさとづくり支援事業」モデル自治会第1号指定を契機に、本地域の地域づくりを再構築し、清らかな水を基調とした自然豊かな住環境の創造を推進するため、「下内野4WD計画」を策定し地域づくりに邁進している自治会であります。 活動の内容 下内野自治会では「下内野4WD計画」に基づき色々な事業を展開しておりますが、その中で主な事業について紹介いたします。 (1) 石磨き大会 日本大学の河野先生の研究室との交流から始まったこの事業も今年で16年を数えました。昨年は第15回記念「みちのく石磨き大会」として行なわれ、地元出身の音楽家にお願いした「かじかの里の歌」が完成し参加者に披露しました。この事業は、「かじか」が棲めるような清流の保全と農村における住環境の重要性の意識高揚を図るため、自治会員、地元の小中学生、日本大学の学生が川に入り、川の石を古縄たわしで磨くものです。 (2) 全世帯宅地分譲事業 自治会員がそれぞれ未利用の農地を出し合い、地域づくりの仲間として定住者を受け入れようという事業です。土地については1区画1000平方メートルを基本とした散居型による農地の現状分譲であり、定住者が思い思いの場所に家を建て野菜をつくり、田舎暮らしを満喫しております。(4世帯が定住済み) また、当自治会の宅地分譲事業は、定住住民審査制度という制度を自ら創設し、「定住者なら誰でも」というのではなく、「この豊かな自然環境に価値観を共有でき」、「地域づくりのパートナー」として自治会員が認めた人にだけ住んでもらおうとするものです。 さらに、分譲による土地代金で合併浄化槽を設置し、水質浄化を推進し、更には快適な住環境を実現することにより、息子や孫のUターンを促進しようとするもので、財産の置き換えという視点で取り組んでいるものです。 (3) 中国遼寧省桓仁県桓仁鎮との国際交流 平成12年に始まった中国との国際交流についても9年目を迎え、これまで自治会では3回の訪中、中国側でも3回の訪日を行ない、異文化交流や農業分野での提携の可能性について意見交換をしております。 (4) 田舎教授派遣事業 日本大学の学生が当地域に訪れていますが、都市農村交流だけでは真の交流ではないということから、下内野自治会員を日本大学に派遣する田舎教授派遣事業を実施し、本年度で8回目を迎えます。 日本大学生物資源科学部の学部祭である「藤桜祭」に参加しながら、田舎の良さをアピールする田舎教授の自治会員も大分板に付いてきたと好評です。 活動の成果・影響 これらの地域づくり活動を通して自分たちの地域の良さを再発見するとともに、地域が一丸となった地域づくり活動は地域リーダーの育成につながり、また、生まれ育ったこの地域に対して自信と誇りが持てるようになりました。 また、石磨き大会等による砂鉄川の水質保全活動は、流域の他地域へも拡大するなど、水資源に対する意識の啓発や向上に大きく寄与したところです。 さらに、宅地分譲による定住者は地域づくりのパートナー、地域の後継者として活躍し、石磨きや農業体験、ホームステイ等で下内野を訪れた日本大学を始めとする多くの交流者は地域づくりの仲間として何度も訪れ、活力と魅力に溢れる地域に変貌してきました。 今後の展開 上記のほか、居酒屋「モツ」の運営、田植え踊り伝承保存事業、農作業受委託組合の設立・運営などに取り組んでいます。 また、株式会社による特定農業法人を見据えた基盤整備事業等にも取り組んでおり、一昨年の秋から工事が開始されております。さらに、「下内野4WD計画」に計上されている「あなたのそば屋」運営事業、転作作物として中国の薬草栽培等に取り組んでいくこととしております。下内野自治会のホームページ「かじかの里・下内野」は本年2月にオープンしました。 地域づくりに終わりはなく、基盤整備後を見据えて、新たな地域計画づくりに挑戦することとしております。 |