「あしたのまち・くらしづくり2009」掲載 |
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞 |
地域の元気は仲間づくり・ひとづくりから―高齢者の健康づくり支援活動を通して― |
宮城県仙台市太白区 ボランティアゆう遊 |
私たち、ボランティア「ゆう遊」の発足は1998年(平成10年)5月です。まだ介護保険制度もない中で、一地域住民の「地域のみんなが元気でなければ」という熱い思いからの呼びかけでした。 地域に健康づくりのサークルができて今年は11年目、発足当時からのメンバーがほとんどそのまんま在籍し、居住地域とは言えほとんど面識もなかった人たちが、今では「みんな仲良く・楽しく・地域の家族」になるまでの固い絆で結ばれています。 運動は苦手、運動は学生以来というこの集団が、「健康づくりとは」「運動の必要性とは」を講話と実技指導から学び、体を動かすことの喜び、仲間と集うことの充実感を味わいました。やがては自分たちの元気と楽しさを地域の高齢者にも分けてあげようとの意識が高まりふれあいサロン「ゆう遊」を立ち上げ、ボランティア活動を通して自己実現を図っております。経験を重ねるうちに、介護支援センターのお手伝いをする人、自分の町内会にミニ健康教室を開く人、ボランティアセンターの講師に招かれる人等々、本当にこの人が専業主婦だったの、と疑うほどの生き方革命です。 また、ふれあいサロンに通ってくる高齢者のみなさんは、表情が豊かになり、よく笑い、しゃべり、片足立ちのダンスも出来ます。心が元気になっていくのが分かります。 これらの活動が認められ、2006年には「元気まち仙台フォーラム」団体の部で、最優秀賞を受賞しました。 では、私たちの団体が、どんな仲間づくり・ひとづくりで地域を元気にしでいるのかをご紹介したいと思います。 まずは、私たちはいきなりボランティア活動を始めたわけではありません。3年間のサークル活動を通して培った信頼と協調の上に、会員の総意で立ち上げたものです。これが私たちの集団の特徴であり、結果的に理想とする運営ができている要因です。 11年前「運動苦手な人この指止まれ」の呼びかけに対して、約40名(ちなみに女性だけ)の応募がありました。 週1回の教室を5回開催し、運動の必要性、肥満とダイエット、生活習慣病、肩こりや腰痛など日常主婦が抱えているテーマで、プロの先生から講話と楽しくて簡単にできる運動を学びました。結果的にはこの講座が参加者のこころを鷲づかみにしたのでした。 「もっと続けて」「みんなと別れたくない」「体が楽になった」など、もっと続けてコールに後押しされて健康づくりの会が発足しました。 健康づくりの柱はダンベル体操だったので「ゆう遊ダンベルクラブ」と命名しました。ここから、主婦たちの本領発揮(自己実現)がスタートしたのです。 月4回なのに先生が来るのは月2回だけ、あとの2回は自主活動です。運動苦手な集団が先生の代役をします。いざとなると女性の底力はすごいものです。なんとかなっているうちにリーダーが育っていきます。必要に迫られて学びます。どんどん力がついてきます。経験を積むほどに自信がつき加齢に反比例して若返っていきます。 しかし、これだけではただの趣味の会です。そこで平成11年、県生活文化課からの要請を受けて生活学校に加盟しました。健康づくりだけではなく社会に目を向けようとの思いからです。テーマは自分たちが直面している「高齢者の福祉の充実」です。そして2年後の平成13年5月、私たちは学んだことを実践すべく地域高齢者の健康と生きがいづくり支援を目的に、ふれあいサロン「ゆう遊」を開設しました。ダンベルクラブのみんながボランティアスタッフです。 私たちの自慢はスタッフの仲の良さです。それはボランティア活動をするために募集したスタッフではないからです。ここに至るまでの3年間で培った仲間の絆があるからです。 サロンの運営にも工夫があります。ボランティア活動が生きがいに感じられるような運営です。全員がリーダーの役割を持っていることです。 健康教室で習ったストレッチやダンベル体操にダンス、レクリエーション、歌、おしゃべり会の進行役など、誰でもできるのです。リーダーになることで自己実現が図れ、それが充実感となり生きがいと感じられるのだと思います。 また、私たちは60の手習いで役員はパソコンを習い、運営会議はメールです。お互いに忙しい身でも負担になりません。意思の疎通と情報の交換を大切にしています。 文書を作る人、会計をエクセルで処理する人、写真集を作る人などそれぞれに得意な分野を担当します。 ちなみにボランティアをする私たちの現在の平均年齢は72歳(60歳~85歳)で、サロンに集まる地域の高齢者は75歳~93歳までの14名で、どっちがどっちか分からないところがなんとも言えない和やかな雰囲気になります。何の支障もありません。 スタート時点では、特別な知識、技術がなくても情熱がそれらをクリア、必要に迫られての学びの収穫は大です。こうして、お互いに地域の住民とは言え面識もなかった人たちが、向上心に燃え、仲間を大切に思い、この集団を心のよりどころとさえ思っています。 健康教室を始めてから早や10周年を迎え、過日、記念式典とパーティーを開催したのですが、その時の集合写真がなんと10年前より若く、いきいきと輝いているのです。しかもそれを各人が認めているのです。 私たちは今、新しい地域おこしを企画進行中です。 それは、地域の元気づくりには男性の参画が必要なことから、男性が魅力を感じ活動に参加してもらえるようなことを展開することです。 近年、ノルディックウオーキングというスポーツが広がりを見せています。フィンランド生まれのこのスポーツは、2本のポールを使って歩くので、足腰の弱くなった高齢者にも効果があります。また、普通のウオーキングに比べてエネルギーの消費量が20%もアップするので、健康づくりにはとてもいい運動です。 既にダンベルクラブとふれあいサロンでは取り入れていますが、これを私たちだけでなく、地域の男性がインストラクターの資格を取得して、主導的に地域展開の担い手になっていただくことです。 リタイアした男性陣や子育てを終えた主婦層にも呼びかけ、みんなが力を合わせて地域活動ができる土壌をつくることで地域は元気になると思うのです。 ゆう遊ダンベルクラブの概要 設立 平成10年5月 活動場所 金剛沢コミュニティセンター 運営 週1回 水曜日 10時~12時 内容 ダンベル体操、ストレッチ、筋トレ、ダンス、レクリエーション、ノルディックウオーキングなど 会費 月1000円 会員 学区内居住者30名(60~85歳・平均72歳) 目標 介護の世話にならず人生をエンジョイするための体力と仲間づくり。ボランティア活動が生涯学習と自己実現の場となり人生の質の向上を図る。 ふれあいサロンゆう遊の概要 設立 平成13年5月(通称:めだかの学校) 活動場所 金剛沢コミュニティセンター 運営 週1回 火曜日 10時~12時 内容 ダンベルクラブと同じことをソフトに・おしゃべり・お茶のみなど。 会費 1回500円(利用者・ボランティア共に) 利用者 学区内居住者14名(75~93歳・平均81歳) 日標 ボケない・寝たきりにならない・出たがり老人になる。そのための体力づくりと感動できるしなやかな脳を鍛える。 |