「あしたのまち・くらしづくり2009」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

元気で夢のある 村づくり 人づくり 暮らしづくり
群馬県片品村 エンジョイネットワーク 片品
趣旨
○未来の子どもたちに、片品村のすばらしい自然や、失われつつあるすぐれた生活文化を伝え魅力的で夢のある村づくりを進める一端を、出来ることから担う。
 尾瀬と片品のイメージアップにもつながっていくことを希望し、尾瀬片品を愛する人たちをネットワークに元気を発信する皆さんの応援団を自称し活動する。
○しがらみ・肩書き・年代を超えて協働する中で人生をエンジョイし既存の「縦割り・三角ピラミッド」の仕組みに、ランダムなネットワークを加え構築することで私たちはシナプス的役割を担い、円滑な循環社会を創造することを目指す。
○各自の人生や村の元気を引き出すため、年に一度の、村のミニミニ博覧会「宝さがin片品ふれあいバザール」を原点に、各自がそれぞれの得意な分野・地域で自主的に発信を行ない、メンバーは互いにその発信に陰日なたで応援サポートを目指す。

組織形態
○ランダムネットワーク、最低限の縦横・ピラミッド形態も含む


エンジョイ発足の経緯

 産声を上げた平成5年、おりしも世の中ではバブルの崩壊がささやかれはじめ、オリンピックの誘致も長野に決まり、スキー客の流失が心配されてなにやら不安材料が…という頃でした。
 メンバーの中には、当時小学校3年生の子の口から「どうせ俺たちは田舎者さ」という言葉を聞かされたこともあり、小さい子どもながらも都市部とここ(暮らしの場)を表現する言葉に負い目めいた言葉が出てきたことに心が痛みました。自然への畏敬の念が確かに存在していて、人が生きていく上で必要な知恵や宝がエキスのようにあふれている村、自慢さえすれ何も恥じることなどないのに! と大きなショックでした。
 その頃、同じ思いを共有できる30代前後のお母さんがこの村で楽しく安心して暮らすためや経済活性のために、未来を託す子どもたちにとって、自信や誇りを持てる魅力的な暮らしやすい村にしたい、と「エンジョイネットワーク片品」を設立しました。
 「ああなると、こうなるといい。誰かしてくれないだろうか」等の願望、要望、愚痴だけ言っていたのではいけない、そこからは何も生まれない、解決策はない、と気づき「何も持たない私たちでもできることがあるはず」と、生活者の小さな声を村に、社会に反映、寄与したいと確認し合いました。そんな同じ思いの仲間がまだきっといるはずということで、集いの場として年に一度の「宝さがしin片品ふれあいバザール」を企画開催することになり、17年が過ぎました。
 村の歴史始まって以来の住民発動で始まったこの活動は、住民にとっても行政にとっても衝撃的なものでしたが、既にある片品の宝(人・もの・事・情報)を再確認することやつなげることで個々の人生や村の元気を引き出すきっかけになりました。村のミニミニ博覧会的なこのイベントを足がかりに「小さくても輝く村」をはぐくむため、ネットワーク応援団を自分たちが担おうと発足し現在に至っています。
 男女・年齢を問わず、職業・肩書き・しがらみを超えて一住民として集い自らの地域を自らの手で活性化しましょうと呼びかける村の応援団。互いに理解し生かし合うひとづくりの応援団。
 この応援団(エンジョイ~)の特徴は、従来のピラミッド型や、縦割りの組織になっていないことです。一人ひとりの自覚、自立という核によるネットワークの複合体に有ります。既存の「縦割り・三角ピラミッド」の仕組みに、ランダムなネットワークを加え構築することで、私たちはシナプス的役割を担い、円滑な循環社会を創造することを目指しています。
 当初、この複合的動きは村では理解しがたい組織でした。17年という時間はかかりましたが少しずつ確実に浸透しています。リンクした人々がそれぞれの個性を光らせながら、家族・仕事・地域振興へと展開しているのが見え始め、私たちも含め村の人の意識変革が少しずつ始まりました。


エンジョイネットワーク片品の活動記録・実績・成果

☆毎年7月第1土曜か日曜「宝さがしin片品ふれあいバザール」開催
 5000人強の村ですが面積が広く今まで出会えなかった人たちが知り合い、情報の交換・共有・協働が始まっている。夫婦・嫁姑・家族の間も理解と信頼が育まれている。
 子ども、若人、新しい人の村デビューの場。廃れかけていた藁ないや炭焼きの伝統文化が復活。
○「宝さがし~」のリンクメンバーから起業に拍車かかかったケースがいくつかある
 豆腐製造・手打ち蕎麦・手打ちうどん・手作りパン製造販売・・・等
○他団体との交流・研修
 尾瀬太鼓・片品音楽集団・商工会青年部・農協・尾瀬高校・青年会議所・・・等との協働
 山村のシャイな子どもたちが積極的で自由な自己表現をするようになってきた。
○年間4回程度「第1回開催記念花壇」整美
 低迷していた花いっぱい運動に拍車、村の「花の谷構想」にも一役をになう。
○「10円から募金」で100万円近いミニサーカスを呼ぶ
 子どもたちに本物を味合わせたいという若い母親たちの希望がかなう。

☆毎年11月 村消費生活展参加(環境に優しい情報発信)
 片品の湧水をきれいなまま、下流の隣人へ贈りたいと環境に優しい洗剤や和布の提唱。
 目に見えるリサイクルをめざし、ゴミ・資源の分別・雑古紙からトイパー・廃油回収。

☆各メンバー自発的社会貢献・それへの応援サポート
 広い分野でのボランティア参画・審議委員・健康促進講師・モニター・パネラー・講師等

☆摘み草クッキング開催
 参加者は食したことのない自然の恵みに感謝。コア・リンクメンバーの多くが安心安全な食に関心があり常に研鑽している。

☆行政や政治への身近な関心をはぐくむ
○「新議員さんの夢と抱負を語る・聴く会」 共同開催 平成15年5月7日
 このような会を是非次回も開いてほしいとの参加者全員の声
○「片品村長選挙立候補予定者に政策と抱負を聴く村民の会」 共同開催 平成18年11月
 結果としては聴く会は開けなかったが、判断材料として候補者の協力により両者の考えを新聞チラシで配布できた。選挙管理委員会のするようなことは必要ないという声もありましたが選管では出来ないとのことで、村民が企画開催をはたらきかけた。
○「片品村村会議員立候補予定者の声を聴く会」共同開催 平成19年4月12日
 「各議員さんたちのお人柄や想いを知ることが出来てとても良かった。」という声をいただく。
○「文化観光社・片品」・「県幹部会議」等にも応援
 村の中学、高校、青年たちの生の声を伝えることが出来た。またリンクメンバーらの協力により限られた少ない予算以上の地域の心が伝えられた。行政との協働に心が通った事業だった。
○ちいさな声でしたが村の公共事業への関心と提案協力
 歯科、小児科、小学校の体育館とプール、公園内の水のみ場・・・
○台湾の農業系の雑誌に活動が紹介される。台湾にある大学が台湾の震災の復興に生かす。


今後の夢

 私たちは、ふるさとの大地にしっかりと足場を固めながら、一地球人としての視点も忘れずに日々夢と希望にあふれたネットワークを模索して参ります。
 尾瀬片品の地域が、関東をはじめとして日本や世界の中にあり、皆さんにとって桃源郷のような村の一つとしてあり続けられるよう、日々研鑽し続けてまいります。
 そしていつか尾瀬が世界遺産に名を連ねられることを夢見ながら・・・。

エンジョイの趣旨
 尾瀬のふもと片品の自然、人、もの、こと。どれもキラキラ輝く宝物です。そして住民がその筆頭です。
 そんなたくさんの宝物をつなぎ合わせて楽しい村をつくります。
 子どもたちが、自分のふるさとに誇りと愛情を持ち続け得る、魅力たっぷりの夢多き村づくりをモットーに活動をします。
 さまざまな人、自然、情報、活動をつなぐ夢のシナプスをめざした元気応援団です。
 対外的にも愛郷精神や経済交流・環境保護などみな円満な相互循環型をめざし、明日への希望を発信する応援団でもあり続けます。
「宝さがし~」の趣旨
 尾瀬片品が好きで、その日だけは一切の垣根を取り除ける人、そんな人たちによる情報交流・自由表現。初デビューのミニミニ博覧会。


「宝さがしin片品ふれあいバザール」について
☆初参加・村デビューの場所の提供は必要との要望があり、来年度も開催が決定。
☆したがって年ごとの実行委員会を募集する。(エンジョイの趣旨あるいは「宝探し~」の趣旨に賛同して一緒にお手伝いできる人)