「あしたのまち・くらしづくり2010」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 内閣総理大臣賞

コミュニティを生かした共生・協働のまちづくり
鹿児島県薩摩川内市 峰山地区コミュニティ協議会
概要

 人口減少に歯止めをかけるために500戸定住促進を目指す、そのためには商業施設などの生活基盤の整備と医療・福祉、保育・教育・憩いの場などの住み良いまちづくりが不可欠である。
 そのために行政だけに頼らず、未来を担う子どもたちを含めて地区民の共生・協働によるまちづくりに取り組んでいる。


手づくり自然観光公園柳山アグリランド事業(平成18年7月〜)

 峰山地区(高江町)に住みたくなるまちづくりのために、峰山地区(高江町)民による「共生・協働の地域社会づくり」事業として、平成18年7月から柳山(標高389m)の市有地34haを無償借地して、地元の高江中学校の生徒を中心に子どもたちの参加のもとに、地区民による手づくり自然観光公園柳山アグリランド事業を開始した。
 人一人来なかった柳山に年間3万人、内研修受け入れ年間3000人の来園を受け入れる事業となった。
 満4年、5年目の事業となり地区民などのボランティアは延べ約2万人を超える事業を継続中です。
 平成23年3月〜5月にかけて開催される「第28回全国都市緑化かごしまフェア」の地方協賛会場に鹿児島県知事から選定され、平成22年度4月からサルビアなど2万株の花を植栽し、地区民が維持・管理し来園者の観賞に供している。
 この柳山アグリランドの将来像を平成18年11月に高江中学校の文化祭で当時の1年生が発表した。
 その内容は、焼酎「柳山高柳」のラベルの原案製作、「柳山アグリランドのテーマソング」の作詞・作曲・合唱のCD化、柳山アグリランドのキャラクターの製作、柳山アグリランドの将来模型の制作、柳山アグリランドのキャッチコピー「柳山には夢がある」の作成など、地区民による「共生・協働の地域社会づくり」に子どもたちが大きく貢献している。


オリジナル焼酎「柳山高柳」の原料栽培、委託醸造・販売斡旋事業(平成19年5月〜)

 手づくり自然観光公園柳山アグリランドで、峰山地区(高江町)民が45aに約1万5000本のサツマイモ4種類を栽培し、オリジナル焼酎「柳山高柳」の原料として、また焼きイモ用に商品化している。
 焼酎「柳山高柳」のラベルは、地元の高江中学校の平成18年度の1年生が作成し文化祭で発表したものを原案として活用している。
 3回目の平成22年1月の入荷では、1升ビン換算4554本を販売斡旋している。


柳山アグリランドのレストラン「柳山」営業事業(平成21年10月〜)

 地下200mのボーリングにより水質検査に合格した地下水が平成20年12月に確保できたので、平成21年10月から保健所届けを経て、地区民の運営による地産品を活用したレストラン「柳山」を開店し、同時に地産品の直売所も併設した。


八間川「水辺の楽校」江之口眼鏡橋「星空コンサート」事業(平成17年4月〜)

 平成17年4月に薩摩川内市で唯一、八間川が国土交通省から八間川「水辺の楽校」(子どもたちが楽しみ、遊び、学ぶ場として活用)として選定を受け、八間川「水辺の楽校」を活用した、江之口眼鏡橋「星空コンサート」の開催、八間川「水辺の楽校」での子どもたちの魚の放流、八間川「水辺の楽校」のクイズ巡りなどを実施している。
 八間川「水辺の楽校」江之口眼鏡橋「星空コンサート」は、平成19年10月から毎年開催し、子どもたちを含めた地区民の出演と、地区外からの出演により、毎回約1000人の鑑賞参加を得て交流人口増を図っている。


農地・水・環境保全向上対策事業(平成19年4月〜)

 平成19年3月に高江地区資源保全組合を設立して、平成19年度から102haを対象に農地・水・環境保全向上対策事業に取り祖み、農業者と非農業者が相互に協力して役務提供はほとんどボランティアで、農地の保全活動として休耕田の解消20ha、農道の舗装約1000m、農業用水路の補修約1000m、ため池などの点検・補修を実施し、峰山地区(高江町)の水田300haの保全・活用に顕著な成果が出ている。


切花栽培試験事業(平成18年6月〜)

 平成16年度から開始した「白い花咲くソバいっぱい」事業のあとを引き継ぎ、平成18年6月からギカンチュウム、小菊などの切花の試験栽培を実施しでいる。
 平成21年から一部の切花の販売を開始し、今後地区民が事業化できるように試験栽培事業を継続する。


500戸定住促進事業(平成18年7月〜)

 峰山地区(高江町)は勿論のこと、薩摩川内市の人口減少に歯止めをかけるために、平成24年度に供用開始する南九州西回り自動車道の高江インターを活用して、鹿児島市まで30分の通勤時間をキャッチフレーズに、水田農業の町峰山地区(高江町)にふさわしい「食・農・住」近接の定住促進を図る。
 平成18年7月から手づくりチラシを川内駅・鹿児島中央駅で配布して定住誘致を呼びかけ、また地区内の借家・売家・売地調査を実施して受け入れ態勢を整えている。
 定住促進のためには住み良いまちづくりが必要であり、峰山地区(高江町)の地区内を10ゾーンに区分して振興計画を策定し、柳山アグリランド、江之口眼鏡橋「星空コンサート」、農業振興、医療・福祉施設・地産品の販売などの道の駅設置などの生活基盤整備に取り組んでいる。
 ここ2年間でUターン、Iターンで子どものいる家庭など8世帯が家屋新築、借家での転入の成果が出ている。


伝統芸能・文化の保存・継承事業(約300年前から)

 毎年3月に開催される鹿児島県無形民俗文化財「高江太郎太郎踊り」では、峰山小学校の5、6年が役者として参加して保存・継承に取り組んでおり、また大人の役者も世代交代を行なっている。
 その他に「高江太鼓踊り」での若手女子や高校生・中学生の参加、伝統文化の「鬼火焚き」の復活を実施している。


峰山地区(高江町)の史跡の保全・啓蒙活動(平成14年7月〜)

 九州3大河川のひとつである川内川に平行して存在する、峰山地区(高江町)の史跡の保存・啓蒙活動として猫岳の豊臣秀吉の一夜城、南方神社の高江太郎太郎踊り、八間川の江之口眼鏡橋、峰山小学校の峯山ヶ城跡、武家屋敷跡、木彫三尊像、高江新田創出の長崎堤防などの史跡めぐりパンフレットの作成、史跡の案内看板の設置、史跡めぐりを実施している。
 薩摩川内市景観重要資産として認定された江之口眼鏡橋と長崎堤防の景観重要資産としての啓蒙活動をしている。


薩摩川内市景観重要資産の認定と保全・啓蒙活動(平成22年3月〜)

 平成22年3月に峰山地区(高江町)からの申請により薩摩川内市景観重要資産として認定された、洪水対策のために160年前に完成した人造川の八間川に架かる薩摩川内市指定文化財の江之口眼鏡橋と323年前に川内川に築堤され300haの新田が誕生した長崎堤防(延べ640m)を景観重要資産として保全・啓蒙活動をしている。