「あしたのまち・くらしづくり2010」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

商店街の空き店舗を活用し、子どもの食育を支える地域ネットワークづくり
大阪府枚方市 NPO法人ふれあいネットひらかた
◎活動の目的

 近年食品の安全性や子どもたちの食生活の乱れによる健康面が問題視されている。このため地域住民が集まりやすい商店街の空き店舗を活用して、子育て中の親子や小学生を中心に食育の啓発活動や、交流の場の提供などを行なうことにより、子どもたちが安心して健やかに育つことのできる社会づくりに貢献することを目的とする。


◎活動記録と現在までの成果ついてお知らせします

 平成17年9月より【地域の子育て応援ひろば『食育ステーションまきの』】を運営している。
 親と子の食育をすすめるために様々な取り組みを行ない、内容と成果は以下の通りである。
 下記の〔1〕から〔4〕について、2009年度の教室開催数は215回、のべ参加人数は1836名になり、たくさんの方に参加して頂くことができた。


【1】小学生のキッズキッチンを開催

日時:月1回土曜と日曜に朝10時~1時まで開催。夏・冬・春休みは月~金曜日の朝10時~3時まで毎日開催。特に長期休みには遠方からの子どもたちや体験参加者が多い。
対象:小学生 参加費:2000円/回 定員:10名/回 講師:栄養士、料理研究家
内容:土日や夏休みなどの長期休みに小学生の居場所作りと料理教室を組み合わせた『ギッズ・ギッチン』を開催。従来の料理教室とは全く異なり、子どもたちが予算内で献立作り、商店街で買い物、料理、後片付けまでを主体的に行ない、物事の段取りの基礎やマナーを学び、自信や達成感を育む。毎回、学校給食のような栄養バランスが整った献立とレシピを栄養士が作成している。
キッズキッチンにより生まれた成果:
《商店街の様子》
 この取り組みが地域で話題になっている。以前は小学生が買い物をする姿は見られなかったが、キッズ・キッチンが始まってから商店街の雰囲気が変わってきた。肉屋・八百屋など店主のみなさんは子どもたちの顔を覚え話しかけてくれ、子どもたちを見守ってくれて、商店街が活性化してきた。
《保護者の声》
 土日や夏休みに子どもを安心して預けることができる、嫌いな野菜を食べるようになった、家で料理や洗濯や掃除を手伝うようになり段取りが上手くなったと好評である。
《子どもたちの声》
・家ではピーマンやトマトを食べないけど、自分で料理をしたらおいしくて食べることができるようになった(小学2年の男の子)
・お菓子作りが大好きになり、大きくなったらパティシエになりたい(小学4年の女の子)
・キッズキッチンに通って2年、いまでは料理のレシピを見れば何でも作れるようになり味付けも上手においしくできるようになった。中学になったら自分で弁当を作ってみたい(小学6年の女の子)


【2】幼児のためのチャレンジクッキング教室を開催

日時:月2回 日曜日の午前クラス10時~12時30分 午後クラス2時~4時30分
対象:3歳~未就学児
参加費:2000円/回 定員:10名/回 講師:栄養士
内容:3歳から料理の基本を学び、料理だけでなく食事のマナー、はしの持ち方、食器の配膳など楽しみながら身につける。
《参加した子どもやママの声》
①通い始めて1年たち、今では包丁を上手に使えるようになり、料理の段取りもできるようになった。
②ピーマンや人参など野菜嫌いだったのが自分で作ることで食べることができるようになった。
③家で料理を手伝ってくれたり、お弁当を自分で作りたがったり、食べ物に興味を持つようになった。
④野菜に興味をもつようになり、なすやきゅうりやトマトなど家庭菜園を始めた。


【3】親子で学ぶ農業体験教室2010を開催

(2008年と2009年に行ない今年で3回目の開催)
日時:6月~11月まで月1回日曜日に同じ参加者が集まり連続5回実施(8月は除く)
対象:5歳~小学生の親子56組で計160名が参加(2008年と2009年もそれぞれ120名が参加)
参加費:親子で1回2000円×5回=1万円
内容:無農薬で野菜を作っている農家の協力を得て、野菜の種植えから栽培し成長の過程を学ぶ。そして自分で収穫する。さらに栄養や食育の話をして親子で楽しみながら学ぶ。9月には杉中学校のまつりに参加して収穫した野菜を子どもたちが販売体験をする。
栽培・収穫する野菜:キャベツ、黒枝豆、白ネギ、小松菜、チンゲン菜、水菜、菊菜、ほうれん草など
《子どもたちの声》
①暑い夏に畑作業をすることはとても大変だとわかった。また薬を使っていないので畑には虫がいっぱいいた(小学4年の女の子〉
②大きくなったら農業をしたい。とれたての野菜は新鮮でとてもおいしい(小学5年の男の子)


【4】小学生の出張キッズキッチンを開催

日時:月2回ずつ南部と菅原の公民館で土曜日に開催。
対象:小学生 参加費:1500円回 定員:24名/回 講師:栄養士、料理研究家
内容:食育ステーションのキッズキッチンを他地域に広める目的で、公民館の料理室を借りて毎月開催。料理を体験して、さらに紙芝居や食べ物カードを使って栄養や食育を学ぶ。
出張キッズキッチンにより生まれた成果:
 取り組みを他地域に広げることが出来た。毎回参加している子もおり、作ることに自信がでてきた。今後、他の公民館にも開催場所を増やしていく予定。


【5】保育園・幼稚園・小学校へ食育の出前授業

◎園では食育について以下のような課題(悩み)があった。
①園に栄養士などの専門的な知識を持った先生がいない。
②授業をしたくても準備をするための時間的な余裕がない。
③園児だけでなく保護者にも食育をすすめるには、園だけでなく地域の力が必要である。
◎園や学校と協力して保護者向けの食育講座と、園児向けに「食育の楽しいお話し会」を企画し開催した。
①保護者向けの食育講座を開催「幼児の食生活について」 場所:園内の教室 参加費:無料
②平野小学校の2年生に赤・黄・緑の栄養の授業を実施。
③3ヵ所の園(青桐保育園、殿二幼稚園、牧野幼稚園)に「食育の楽しいお話し会」を年長・年中クラス、それぞれ80名に実施。
出前授業により生まれた成果:
・より多くの子どもたちに食育の啓発が出来た。
・紙芝居や食べ物カードを使って赤・黄・緑の栄養の勉強が出来た。
・お話し会のプログラムを他の園に提案できるようになった。


【6】関西電力、生協、グリコ栄養食品と共催で親子の料理イベントを開催

〈うまれた成果〉
・企業とNPOの接点を見つけることができた。
・宣伝力がある企業のバックアップにより参加者が増えた。
・特に関西電力とは今後も年4回の定期的な料理イベントを開催していくことになった。


【7】市立牧野図書館 親子のふれあいルーム「わくわくパンダ」の企画運営

内容:市の子育て支援室から委託を受け2008年1月よりスタート。絵本や紙芝居の読み聞かせ、手遊びや体操など音楽・歌に合わせたリズム遊び、簡単な工作、季節や行事を取り入れた遊び。毎回、0歳から未就園児の親子20組(平均)が参加している。
日時:毎週金曜日10時~12時30分 月4回開催。参加費は無料。スタッフは4名。
《子育てママの声》
①家で子どもと2人でいるよりも、わくわくパンダにきて他のお母さんとおしゃべりをしたり子ども同士で遊ぶことで気分転換になり楽しい。特に雨の日は公園に出られないので室内遊びは助かる。
②家ではできない工作や体を使った遊びは親子ともに楽しんでいる。
③わくわくパンダにくるとおもちゃや絵本がたくさんあり、子どもが退屈せずに遊べる。
④スタッフのみなさんもとても明るく親切で、子育ての悩みにも実際の体験談をもとにアドバイスをもらえるのがうれしい。