「あしたのまち・くらしづくり2012」掲載 |
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞 |
被災地の高校生と共に、「笑顔・幸せ・楽しい」を |
東京都世田谷区 Colabo |
私、Colabo代表の仁藤は「地域や年齢を超えた様々な人と人が出会い、一緒に何かできれば、今より笑顔にあふれる社会になるのではないか」そんなことを日々考えていました。そんな中、東日本大震災が発生し、私は避難所のニーズ調査を主としたプロジェクトにボランティアとして参加しました。そして、2011年4月4日から1ヶ月間、宮城県石巻市を中心に避難所を回り、避難所運営の手伝いもしながら地域の方々と関わっていました。 その中で私は、避難所で生活する高校生たちと仲良くなりました。高校生と話しているうちに、彼らの「自分たちも地域のために何かしたい」という想いを知りました。当時、地元の大人たちはもちろん、全国からたくさんの支援者が被災地で活動していました。そんな中、被災地の高校生たちに任せられる仕事はほとんどなく、高校生たちは支援の対象者としてのみ扱われていました。そんな中、「自分も何かしたいけれど、何をして良いか分からない」という高校生の想いに気づいた私は「もったいない」と思いました。そこで、「何かしたい」という想いを活かせる場を作れないかと、支援金付商品の開発を思い付きました。 ちょうどその頃、宮城のローカルスーパーで売っていた東北の郷土菓子を食べたことがきっかけで、私は製造元の大沼製菓に電話をかけました。すると、津波の被害を受けることのなかった大沼製菓も、地元企業として何か出来ないかという想いを持っていたことからすぐに話が進み、一緒に商品開発を行なうことが決定しました。次に、私は避難所で仲良くなった高校生が通っていた宮城県女川高校に電話しました。すると、震災後避難所となっていた女川高校に最初に届いた支援物資が大沼製菓のお菓子だったようで、女川高校の先生方も「そのお菓子を食べて3日間生き延びた」ということでした。そんな縁で活動が始まり、当団体がコーディネーターとなり女川高校と大沼製菓と連携し、商品開発会議を始めました。 2011年6月より商品開発会議を始め、3ヶ月間かけて女川高校の生徒たちと「笑顔・幸せ・楽しくなれる」という想いを込めた支援金付大福『たまげ大福だっちゃ』を開発しました。商品完成後は、全国の販売協力者の下、全国各地で開発した商品の販売活動を行ない『たまげ大福だっちゃ』の売り上げの一部を「女川高生が地域のために行なう活動資金」として女川高校に寄付しています。また、集まった支援金を用いた高校生の活動もコーディネートしており、現在女川高校生を中心に女川町民と連携して行なう「女川から元気を発信する」をテーマとしたイベントを企画中です。 これらの活動は、女川高校が閉校となる2014年3月まで継続して行なう予定であり、去年度・今年度・来年度の3年間の活動を通して、高校生から地域を元気にし、女川高校閉校後も地域に残る活動を目指しています。また、当団体は「出会いを創造にし、社会を活性化させる」ことをミッションとし、普段関わることの少ない地域や年齢を超えた人と人とを繋ぎ、それぞれの強みを生かしてコラボすることで、地域・大人・若者の協働の場を作り、社会全体を活性化させることを役割としているため、学校や企業、地域の協働のモデルとなることを目標として活動しています。具体的な活動内容、活動実績は次の通りです。 1.支援金付大福『たまげ大福だっちゃ』の共同開発 2011年6月から宮城県女川高等学校の生徒会、石巻市の大沼製菓と協働で、支援金付の和菓子の開発を行なった。Colaboがコーディネーターとなり女川高校と大沼製菓を繋ぎ、毎週女川高生と商品開発会議を重ねた。「町の人たちを元気にしたい」、「震災のことで悩んでいる人や、つらい思いをしている人たちを癒したい」、「全国から来てくれているボランティアの人たちに感謝を伝えたい」という生徒たちの想いから、『笑顔・幸せ・楽しくなれる』をコンセプトに支援金付のミニ大福セット『たまげ大福だっちゃ』を考案。高校生を対象に合宿型のプロジェクト会議も数回行なった。2011年8月には石巻駅前で行なわれた食興市で商品の試験販売をし、町の方々の意見も参考にしながら9月に商品が完成。2011年9月23日、女川高校で行なわれた文化祭に合わせ、大沼製菓の店舗とインターネットを通じて全国で『たまげ大福だっちゃ』の販売を開始した。 商品は一つ120円。うち25・5円が支援金となり、「女川高生が地域のために行なう活動資金」として女川高校に寄付された。 2.支援金付大福『たまげ大福だっちゃ』の販売活動 商品完成後は『たまげ大福だっちゃ』の販売協力者を募り、全国の幼稚園・小学校のPTA、中・高・大学生や企業の協力の下、全国約80のイベントや学園祭で販売活動を行なった。女川高校の生徒たちも宮城県を中心に販売活動に参加し、商品に込めた想いを伝えた。大福に込めた生徒たちの想いは始め、町の人や、町に来てくれているボランティアの人たちに向けたものだった。しかし、商品を開発していく中で「女川から元気を発信したい」、「全国の人に笑顔を届けたい」、「全国の人に女川のことを知って欲しい」という想いも加わった。 そして、2011年11月2~3日には東京に女川高生を引率し、明治学院大学の学園祭にて『たまげ大福だっちゃ』の販売活動を行なった。販売活動の他にも、高校生と共に町の現状や生徒たちの想いを伝える映像を作成したり、高校や大学の講義やオープンキャンパスなどのイベントで高校生参加型の講演活動も行なっている。 3.「たまげ大福だっちゃ」の販売によって集まった支援金を用いた高校生の活動のサポート 『たまげ大福だっちゃ』は、2011年9月23日の販売開始から2011年12月末までで、全国の協力者の下約80ヶ所のイベントや学園祭で販売され3万3700個が完売、合計74万1708円の支援金を集めた。2012年以降は、製造元である大沼製菓の利益も考え、継続して活動を続けるため、支援金を商品一つにつき5円に下げ販売を続けており、2012年3月までの時点で約5万個が完売した。集まった支援金は女川高校に寄付され、「女川高生たちが地域のために行なう活動資金」となるが、2012年度はこの支援金を使って高校生が中心となり女川町民の方々と「女川から元気を発信する」をテーマとしたイベントを行なう予定であり、現在企画中である。これまでの活動により、現在女川高校の生徒たちには「全国の人に感謝の気持ちを伝えたい」、「今の女川町や宮城県の現状を知ってほしい」、「自分たちから地域を元気にし、全国の高校生を始め全国の人たちに頑張っている姿を見てもらいたい」という想いが芽生えた。その想いを全国に伝え、地域を元気にすることを目的に活動を続けている。 また、女川高校は2014年3月で閉校となる。そのため、去年度・今年度・来年度の3年間の活動を通して、高校生から地域を元気にし、女川高校閉校後も地域に残る活動を目指している。 4.活動に関するメディア掲載歴 ・仙台放送「あらあらかしこ」2011年7月30日、10月1日、11月5日放送 ・2011年7月23日河北新報「ミニ大福で地域元気に 女川高生、菓子会社と商品開発へ」 ・2011年7月23日ガジェット通信「出会いを創造にし、社会を活性化させる『Colabo』代表・仁藤夢乃さんの挑戦」 ・2011年7月29日河北新報「被災地励ます菓子創作 女川高生徒会が挑戦 石巻の製菓協力 3種提案試作工夫重ねて販売へ」 ・2011年9月10日河北新報「ミニ大福を共同開発石巻の被災菓子店と女川高生」 ・2011年9月24日日本経済新聞沖縄版朝刊社会面「東日本大震災の被災地、宮城県女川町の女川高校の生徒らが(窓)」 ・2011年9月24日河北新報「女川高に巨大絵画 大阪の高校と共同製作 負げねっちゃ精神で文化祭」 ・2011年9月21日神戸新聞「義援金付き、23日から販売、被災地の高校生が大福考案」 ・2011年9月30日上毛新聞「〈〈がんばろう日本 群馬発>>大福食べて被災地応援 共愛学園」 ・2011年10月2日読売新聞東京版「都立第五商文化祭で宮城の物産展開催」 ・2011年10月30日毎日新聞宮城版「東日本大震災:「ミニ大福セット」人気 県女川高生徒が開発」 ・2011年11月3日読売新聞「被災地の高校生と義援金付き大福を開発した仁藤さん」 ・2011年11月7日松山新聞「聖カタリナ女子高の学園祭で復興支援企画・即売会通じ支援金送る」 ・2011年11月18日読売新聞「(37)義援金付き大福を販売」 ・共同通信 47News「被災地の高校生考案の大福販売」 |