「ふるさとづくり'01」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞 |
地域循環型リサイクルシステム構築を目指し |
青森県八戸市 八戸エコ・リサイクル協議会 |
八戸市には、市民が環境問題の学習や交流の場となる、リサイクル資料館「包」(パオ)を平成8年4月に開館している。1階は、環境問題やリサイクルの学習、2階は、食文化に大きく貢献してきた紙・器の歴史を実際に見て学習できる場である。館内には、6000点を超えるリサイクル製品を展示している。 同市では、平成9年4月容器包装リサイクル法の施行に伴い、資源ゴミの分別収集を開始した。その結果回収した古紙が大量にだぶつき、大きな問題となった。 このことが契機となり、行政と市民、企業が一体となって解決するため、平成9年9月市民有志で「八戸エコ・リサイクル協議会」を結成した。 同会は、住民が分別した古紙を行政が回収し、地元企業が再商品化し市場に出すという地域循環型のリサイクルシステムが必要であるとの考えで、倉庫に保管されたままの古紙を原料に、古紙100%のトイレットペーパーの製造、販売を企画した。 それから、割り箸をパルプとしての資源化や10万本の植林事業、リサイクル・オフィス町内会の手法で企業の事業系古紙のリサイクルのエコ・ステーションを、八戸総合卸センター内に開設、古紙のだぶつき解消やごみ減量、資源保護に効果をあげている。 古紙再生トイレットペーパーの製造販売と植林事業 平成10年3月より市内の古紙回収業者、岩手県の上山製紙会社、市内の各スーパーの協力を得て、古紙100%の再生トイレットペーパー「エコライフ」を委託製造販売を開始した。 現在も販売を継続しているが、このトイレットペーパーの販売は、古紙のだぶつき解消のほか、一般市民の環境問題やリサイクルへの関心を高める効果もあり、また、古紙焼却の費用節約にもなっている。「エコライフ」は、市庁舎のトイレでも活用され定着した。 つぎは、地域温暖化の要因である二酸化炭素の削減と森林保全を目指した植林事業である。平成9年12月地球温暖化防止京都会議でCO2削減の必要性が再認識された。 同会は、身近なところで、できることから活動し、自然と共生できる社会を実現するため10年間で10万本の植林を目指して、平成11年6月から事業を開始した。 この植林によって、地域の二酸化炭素を10年間で2%削減する計画である。同時期より県南部圏域13市町村の住民にも呼びかけ、同地域を流れる馬淵川上流に位置する田子町の山林に、栗やブルーベリー、山桜など広葉樹を植林している。川の上流に植林することで、川の水質浄化にもなり、下流域の環境保全にもつながるとの考えである。 植林は、地域住民のボランティア活動で行い、2年間で315本、参加者は延べ240人で、今年3年目を迎え、300本の植林を予定している。2010年には豊かな森ができると思い励んでいる。 割り箸のリサイクルとオフィス町内会によるエコ・ステーションを開設 平成12年4月、三菱製紙八戸工場と各飲食店協会の協力を得て、市内の飲食店等で使い捨てられる割り箸を回収、パルプに再生するリサイクルを開始した。同会メンバーの6社が、市内約6000軒の飲食店から使用済みの割り箸を回収し、三菱製紙八戸工場でチップ材と混ぜてパルプに製造、コピー用紙、チラシ、カレンダー等に再利用されている。ゴミの減量と資源の保護に貢献している。 続いて平成12年12月、青森県第1号の企業の集団回収システム(オフィス町内会)を八戸総合卸センター内に開設した。新聞紙や雑誌、OA用紙、段ボールなど事業系古紙の完全なリサイクルを目指した「エコ・ステーション」である。 オフィスから出る古紙を12品目に細分別化し、24時間体制でステーションで受け付ける集団回収方式で、資源化とゴミ処理のコスト削減に成果をあげている。 この回収には、知的障害者の方々に協力いただき、東北、北海道の製紙工場で新聞紙や段ボール原紙、トイレットペーパーに再生利用されている。 これまでの活動は、市内の一般住民はもちろん、企業、行政と幅広く連携しての展開である。そして、市内に限定せず、山林の植林等は広域的に実施していることから青森、秋田、岩手の3県にわたる、小学生の環境教育副読本にも取り上げられた。このように活動は、地域を広げ、世代を越えて環境に対する関心を高めている。 今後は、講演会の開催や環境展への出典等に積極的に参加し、啓発活動に努めるとともに、新たにエコロジービルやエコ商店街等のモデル事業を計画、「地域循環型社会」の建設に向け活動を展開したいと考えている。 今年は、神輿のような移動可能な「エコ神社」を制作、子どもたちに遊びながらリサイクルの勉強をしてもらう計画である。 |