「ふるさとづくり'01」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞 |
共同作業体験学習を通した地域との交流 |
滋賀県甲良町 滋賀県立甲良養護学校 |
「甲良養護学校」は、滋賀県湖東地域の彦根市・愛知郡・犬上郡(1市7町)を校区に平成8年4月新設の知肢併合の養護学校で、現在の児童・生徒数は138人、年々増加の傾向にある。 心身に障害のある児童生徒1人1人の障害状態や発達等に応じた指導とともに、互いに励まし助け合い、たくましく生き抜く力を持った心豊かな児童生徒に育成することを教育目標にし、各部に細目を設定している。 3部制になっており、[小学部]は(1)リズムのある規則正しい生活がおくれる、(2)心身の調和と生活する力を育成する、(3)決まりや知識を身につける。 [中学部]は(1)心身ともに健康な身体をつくるとともに健康への意識を育てる、(2)リズムある生活を通じて基本的生活習慣を確立する、(3)生きる力につながる豊かな基礎学力をつける、(4)力を寄せ合い気持ちをつなぐ集団づくりをすすめ民主的な人格を育む。 [高等部]は(1)元気な心と身体をつくる、(2)お互いを認め合い自分も友だちも大切にする、(3)自信や喜びのもてる生活を創り楽しむ力を育む、(4)青年期にある自分を自覚しチャレンジする気持ち大切にする。が各部の目標である。 花や作物の栽培を通し地域との交流 教師、児童生徒がともに協力しながら屋外に出て、自然の中で汗を流し、身体全体で土に触れる様々な作業を体験することを通じ働く事の大切さを学ぶために、学校周辺の美化活動と地域交流に取り組んでいる。散乱する空き缶や紙くず等の清掃作業を始め、地域の花壇や企業に出掛けて職場の人と一緒に花の苗を植え付け、年間を通して地域の花いっぱい運動を推進している。 また、地域の方とともに行う作業体験学習では、甲良米の田植え・稲刈り・餅つき大会がある。機械を使用しない手作業が中心で、地域の経験豊かな住民のアドバイスや作業手順の指導を受け、代掻き、田植え、除草、水田の管理と継続した作業を実践し、稲刈りを体験し収穫の喜びを感じるとともに、作物を栽培することの大切さを学習する。収穫したもち米での餅つき大会には、地域住民を招き交流の輪をさらに広げている。 共同作業体験学習には、そばの栽培もありそばの実を収穫選別し、石臼と製粉機でそば粉をつくり、地域の方や保護者と一緒に手打ちそばに挑戦、打ち上がったそばは生徒や招待された父母らで味わう。 ケナフも栽培していて紙に加工、手漉きの卒業証書やはがきづくりを実践している。 スクール農園の活用や地域行事への参加 校庭の一角にはスクール農園があり、各学部毎に活用している。小学部は、「自然とのふれ合い・土と遊ぼう」と生活単元学習の中で、花や野菜の苗を自分たちで植付をする1人1鉢栽培の取り組みである。プランターで育てた花は学校の校門や正面玄関に並べ、毎日水やりをし大切に育てる。ポットに植えた苗は、地域や保護者参観日に販売したり、家庭に持ち帰り家族と一緒に育てることも実施している。 中学部は、クラス単位で季節の野菜を栽培する。収穫した野菜は調理実習や合宿等の食材に活用している。 高等部は、作業学習の一環として身体全体を使っての農作業に年間を通して取り組む。雨が降っても実習できるビニールハウスも組み立ててある。汗を流し平地の開墾作業から始め、作物の栽培を通して地域住民や仲間と共に働き、季節の野菜や花を目にし「できた!いっぱい収穫した!」という成就感と「栽培する」喜びを実感している。 つぎに、農業の時間に丹精込めて育てた花の苗や野菜の販売体験実習である。今ではしっかりと地域に定着し、訪問先の皆さんから「頑張っているな、ありがとう」と気軽に声をかけてもらえる。この何気ない励ましの一言が「人に喜ばれることを喜びとする」心意気となり、もっと頑張ることに繋がっている。 また、日赤奉仕団の方々と地域の独居老人宅を訪問、シクラメンの鉢植えと、メッセージを書いたクリスマスカードを一緒にプレゼント。さらに、お世話になっている地域の関係諸機関や人々をも訪問し葉ボタン・シクラメンの贈呈を行っている。 4年前から、地域住民と共同作業をするため、農園の一角に小さな花壇を造った。この花壇は、生徒たちに受け継がれ、コツコツと施した堆肥が効いて、鮮やかな緑の葉に真っ赤や黄色の花を付け一面に咲き誇るまでになり拡大もした。昨年は、「全国花いっぱいコンクール」で自治大臣賞を受賞、生徒たちの目標であった夢が実現した。 この園芸では、給食の残飯を発酵させたものや落ち葉をリサイクルして腐葉土をつくり肥料として活用している。 地域行事への参加交流は、甲良町フリーマーケット・甲良町せせらぎ楽市・地域のマラソン大会、駅伝大会等に積極的に参加し、地域住民とのふれ合いを大切にしている。 |