「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

女城主の里づくり
岐阜県岩村町 いわむら町まちづくり運営・実行委員会
 岩村町は、かつて城下町として栄え女城主の伝説がある。これにスポットをあて、歴史を掘り起こし「女城主登城の儀やレディースマラソン」等、バラエティに富んだイベントを開催、特産品の開発にも取り組み町の活性化を図っているのが、昭和62年発足の「いわむら町まちづくり運営・実行委員会」(代表・西久保成樹さん、メンバー数100人)である。
 なお、同会は平成9年から、町長が委嘱する27人のまちづくり運営委員会とそれまでの実行委員会が、一体となって活動を強化する目的で、現集団名に改めた。


多彩なイベントで活性化を図る

 町の活性化を目指した活動は、昭和60年「岩村城創築800年祭」にちなんで、行政が城への石畳整備や公衆トイレを設置したり、同時に城址能舞いやスポーツ大会を実施したのが始まりである。そして、この記念祭の実行委員や志ある住民によって、いわむら町まちづくり実行委員会が誕生した。
 同会が、最初に実践した活動は、戦国武将織田信長の叔母が岩村城主であった伝説を、現代に蘇らせる「女城主登城の儀」である。昭和62年、町に縁ある女優の渡辺美佐子さんを城主に願い、5万人もの領民(観客)が参加する盛大な催しとなった。これを契機に「女城主の里いわむら」を合言葉に、今日まで継続実施してきた。
 また、本年12回目の「女城主渡辺美佐子杯レディースマラソン」大会は、参加者を女性に限定し、グアムや東京ディズニーランド招待の大抽選会があるなど、全国的に人気が高まっている。
 そして、毎年チケットは完売の「いわむら城址薪能」は、藩主邸の跡地で由緒有る老松を背景に、薪を焚き演じる野外能。本年は、15回記念に宝生流の家元が出演する。能がおりなす霊玄の世界と歴史的な背景の融合は、情緒と独特の雰囲気を醸し出す趣のある催しである。
 昨年、歴史の町並みが文化庁の重伝建地区に選定され、城跡を始め名所・旧跡を巡るスタンプラリー形式のファミリーウォークも活発になった。今年は、商店街の協力でゴール抽選会をを実施、5百円から1万円の商品券を配り喜ばれている。その他に、まちづくりフォーラムでは、島崎藤村学会の全国大会や日本三大山城サミットの開催がある。
 こうした活動が功を奏し、町商工会は「楽市街道まつり」、富田をよくする会は「秋の月待ちお堂めぐり」ウォーク大会、女性チームの「岩村城女太鼓」の活動に波及している。


特産品「芋切り干し・芋姫様」の開発

 同実行委員会は、各方面で実践してきた幅広いネットワークを活かし、芋どころの埼玉県川越市や静岡県大須賀町関係者の支援を得て、町農林課に働きかけ特産品「芋切り干し・芋姫様」を開発した。現在「芋姫様生産組合」の発足で、生産体制も整ってきた。芋姫様の生産は、おばあちゃん中心の「愛菜グループ」が携わり生き生きと活動している。これは、単なる特産品開発だけでなく新たな生きがいの場となって成果を上げている。