「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

桜づつみのほ育管理活動
兵庫県但東町 奥矢根川桜堤を育てる会
 奥矢根川は、県の北部を流れる円山川の支流にある。平成2年9月台風19号で地域一帯が受けた大きな被害も、災害復旧工事で河川改良、浸水・決壊等の不安は一挙に解消された。この復旧事業竣工を記念し、県の計画する「ふるさと桜づつみ回廊」を、子孫の時代まで誇れる「桜づつみ」の造成を要請、植樹。平成6年「奥矢根川桜堤を育てる会」(代表・福冨裕さん、メンバー数47人)を結成、桜のほ育、管理活動に取り組んだ。


植樹された八重桜が700本

 平成4年、県からの支給と地元で購入した桜の苗木を、砂防工事を終えた川の両岸と支流の谷川沿いに150本植樹。翌年、災害工事完了にあわせ県土木部で450本が植樹された。
 桜の品種は、関山・一葉・普賢象の八重桜で、この中に駿河台匂いを15本程混植し、開花時には地域一帯桜の芳香に包まれるようになっている。当地域は春の訪れが遅いため、ソメイヨシノが咲く頃は、寒さで花見に適さないことや鳥害やテングス病に強い、春暖に開花する八重桜を選んでの植樹である。
 一昨年には、土地改良事務所で80本を植樹、成木時の樹間を考慮し10メートル間隔で植付けており、延長約7キロの桜づつみが育ちつつある。さらに、現在工事中の道路完成後に、300本の植樹が予定されている。


不可欠な地域住民の管理作業

 各地域の実例に、○○記念と称して賑やかに植樹を行うが、その後の「ほ育・管理」を怠ったため、病虫害や蔓草に負け枯れてしまった無残な姿や欠株になって穴のあいた状況を見る。植樹した苗木を立派に成長させるには、地域住民の手による世話の必要性を考え、ボランティアを募り、同会が発足した。
 平成6年の夏は大干ばつで、前年植樹の苗木には、連日水やりを行って、9月の降雨を見るまで続けた。幸い枯れたのは数本に止まり、今は水やりの心配もないまでに成長している。
 それから次の作業を、毎年繰り返し実践している。(1)年3回行う土手の草刈りで、1人平均幅2メートル、長さ200メートルを受け持っている(2)毛虫・カイガラ虫の防除で、年2〜3回の薬剤散布(3)鹿の被害対策にトリカルネットで巻いたり、幹をプラスチックの筒で覆い護る(4)11月下旬から12月上旬に有機肥料、養鶏場と契約しケイフンを発酵させた堆肥を施す、4トンダンプカー3台も借用しての作業(5)降雪地帯であり雪害対策に枝をワラ縄で縛る、木も4メートルを越すまで成長して縛る数も減ってきたがワラ縄は高価である(6)5月から10月は、月1回川のゴミ拾いを行い、きれいな川と桜堤のマッチを願っている。
 このような活動を実践するのに欠かせないのが資金である。水汲み用ポンプやタンクの購入、薬剤や散布機、ワラ縄、車輛の借料、ガソリン代等々、当初は篤志寄付を願い基金にし「桜堤の碑」も建立できたが、今は底をついてしまい必要に応じ随時篤志寄付を仰いでいる。会員は、年1000円の会費を出し労力は無償であり値上げは無理である。昨年は、ひょうご環境創造協会等の公的助成があって助かっている。