「ふるさとづくり2001」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
「川の楽校」で自然体験 |
宮城県石巻市 NPO法人 ひたかみ水の里 |
岩手・宮城両県を流れる奥羽の大河、北上川。その流域を舞台に「NPO法人 ひたかみ水の里」(代表・新井偉夫さん、メンバー数・47人)は川遊びや保全活動を通じ、子どもたちが河川環境に親しみ共生していくことを目指している。 “川と友だちになる”ことへの手助け 昔から北上川流域の人々は舟を使って品物を運び、川の水を引いて水田を耕していた。川は生活の中で最も身近な存在であった。それがいつのまにか「危険だから川に近づかないように」と言われるようになっていた。 現代っ子たちに自然への関心、親しみを取り戻してほしいと同会が始めたのが「めだかっこクラブ」である。小学4年生以上(親子参加が基本)で受講生を募り、毎月第2、第4土曜日を活動日にカヌー遊びや魚捕り、植物採集、河川パトロールなどを行っている。川の危険についてはしっかりと教え込むが、遊び方は子どもたちの自主性に任せる。自分の力で川との付き合い方を学ぶことで子どもたちは生き生きしてくるし、自らの力で危険を察知し回避する能力を養うこともねらいにある。もちろん、1人ひとりから目を離しはしない。 「川の環境を守る人間を育てようなどと、堅苦しくかまえず“川と友だちになる”ことへの手助けをしているだけ。結果的に川を大切にする大人に育ってくれたら」と、新井さんは語る。他にもポニーに乗ったり、パラグライダーに乗ったりと幅広く自然を楽しむ。今まで延べ550人以上の親子が川で遊び、川辺で語り合った。また小学校総合学習事業を支援するなど、人材育成にも力を入れている。 子どもたちを指導するのはリバーマスターたち。川の歴史や文化を学び、遊び方や救命方法などを身につけた川の達人である。“地域にとってかけがえのない川”の指導者を養成することが地域の未来につながると、平成6年から始まった「リバーマスタースクール」の修了生である。リバーマスターたちは地域の川を日常生活に取り込むことの楽しさを子どもたちにも伝えようとしている。今は運河でカヌーの練習をしている子どもたちが、やがて雄大な北上川に漕ぎ出していくことを夢見ている。 |