「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

青少年に夢と感動の機会を
埼玉県北本市 あそびの学校
 北本を生まれ故郷とする青少年が自信を持って住み続けられるまちづくりをと、「あそびの学校」(代表・平田正昭さん、メンバー数・45人)が始まったのは平成2年。子どもたちとともに「ふるさとでふるさとを学ぶ」ことを目的とした体験学習事業を行う。教室は自然の中、教材はまちの環境資源や「ガキ大将チーム」の持っているノウハウである。


みんなのふるさとの桜をふるさと北本に植えよう

 北本市は昭和30年代後半から人口が急増し都市化が進んだ。47都道府県の出身者が全部揃う典型的な新興ベッドタウンで、住民のまちに対する愛着や関心度は高くない。こうした環境の中で21世紀を生きる青少年の育成は、地域社会が一体となって育成していく必要があった。
 同会で学ぶ子どもたちが両親や祖父母の出身地首長宛に「私のまち北本を大事にすると同時に、両親・祖父母の出身地もふるさととして大切にしたい。その証の桜の苗木を1本送ってください。大切に育てます」という手紙を書いたのは平成5年のこと。樹齢800年を超える天然記念物「石戸カバザクラ」があり、市の木には桜が指定されていることから「全国の桜を北本に植えよう」と考えた。
 この年、27自治体から85本の苗が届けられた。中には「すばらしい事業をしていますね。ふるさとへ来られた時には必ず立ち寄ってください。花の便りを楽しみにしています」と先方からの手書きのメッセージが添えられているものもあった。子どもたちの感動もひとしおで、翌年以降も続けることとなった。これまでに47自治体から180本余の苗木が届けられ、公園など市内の公共施設で毎年花を咲かせている。この事業はNHKでも取り上げられ、「桜のまち北本」の名前は本物になった。
 他に段ボールでテントを作り、空き缶を使ってご飯を炊くキャンプを開催したり、セミの羽化観察などを行ってきた。先生は一般から募集されたガキ大将チーム。野外料理の達人や工作の達人などユニークな昔のガキ大将たちである。この10年間で送り出した修了生は約600人。そして彼らは今、地域や学校の新たなガキ大将としてふるさとづくりに活躍し始めている。