「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

ともに育てようたくましい緒方っこ
大分県緒方町 緒方町生活学校
 全国平均の10年先を行くという過疎化や高齢化、少子化の進んだ地域で、「緒方町生活学校」(代表・衛藤寿子さん、メンバー数・20人)は、発足以来食生活の問題を中心に取り組んできた。加工食品の塩分・糖分濃度を問題にしたり、安全な地場野菜の普及などで、たくましい緒方っ子の育成に努めてきた。
 緒方町生活学校は、昭和57年に20人余りで発足した。当時は、女性の社会進出が進む中で、調理が簡単で値段も手ごろなインスタント食品が重宝がられ、「おふくろの味」が「袋の味」に変ろうとしている時期だった。手軽な加工食品に問題はないか。健康を左右する食生活だけに、同校の中心テーマとなった。


即席麺の塩分・ジュースの糖度調査から手掛けて

 青少年の健全な成長に欠かせない食生活を考える上で、即席麺の塩分テストやジュースの糖度調べを行った。即席麺は、塩分の取り過ぎと健康への悪影響や、即席麺の購入時、調理時、食べる時の注意点などを学び、啓発に努めた。ジュースでは、1缶中の糖度の計算や糖分の取り過ぎと生活習慣病との関係、児童生徒への影響を調べ、寸劇で子供会や女性団体にPRした。また、町の校長会や中学校の文化祭、町産業文化祭などでも広く啓発に努めた結果、保育園ではジュースを牛乳に変え、菓子などは糖分控えめのものを選ぶようになった。
 また、地域に根ざした学校給食を提案した。町内産の野菜や農産加工品を学校給食に取り入れるよう働きかけ、生産者には低農薬の野菜づくりを申し入れた。共通理解はできたものの、量の安定供給などで課題があったが、一部契約栽培も実現した。
 平成9年からは、子どもの心と体力づくり親子教室で、野菜の名前や旬の味を知り、野菜好きの子どもになるよう活動を始めた。また、緒方川ウォッチングでは、小学生の課外授業で水棲生物などの調査を行っていたが、平成7年の調査の際は、過去2回の調査時より水質浄化が確実に進んでいた。
 小学6年生の家庭科授業で、環境に優しい石鹸づくりを実習し、低学年向けの省エネルギー双六をつくり、月見や花祭りなどの子ども向け伝統行事の伝承に努めた。「ともに育てよう、たくましい緒方っ子」は、今や地域で広く支えられている。