「ふるさとづくり2001」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり振興奨励賞

市民と市の海浜植物保護活動
北海道 石狩市
 市中央部を貫流する石狩川。この河口から石狩湾新港まで7キロメートル、幅150メートルの浜に、ハマナス・ハマボウフウ等の海浜植物や湿地性植物が140種も群生する自然豊かな砂丘海岸がある。昭和53年、河口から新港までの2キロメートル、16ヘクタールを市の保護区に、平成3年は28ヘクタールを都市公園に指定。植物の採取や車の乗り入れを禁止している。
 しかし、未規制地域は、心ない者の採取や4輪駆動車で踏みつける等、裸地化が目立ち植生存続の危うい個所が増えた。
 一方、市民自然愛好者は、石狩浜や保安林等の植生調査や観察会を重ねていた。そして、無秩序な車の走行を放置すれば、浜の植生は壊滅に瀕すると、対策を講ずるよう要望してきた。
 市は、未規制の海浜地管理者に保護対策を要請したが、現在の海岸法及び自然環境保全法では、保護区設定は困難と解答。
 そこで、平成4年、市独自で車の防止柵や啓蒙看板を設置、監視に努めた。同時に、市民団体有志が「石狩海浜植物保護グループ」を結成。試験区を設置し、植物種の発芽・育成・植生回復等の活動に取り組んだ。この試験調査の結果、ハマボウフウ等は人為的な植生回復が可能になった。同グループは、市民を募り「緑の里親」と名付け、苗の育成・移植と増殖活動を実践、海浜植物保全意識の醸成を図った。
 この活動は、北海道大学農学部海浜植物生態に関する研究目的に一致し、協力や支援を受けた。さらに、北海道科学・産業技術振興財団に、活動の独創性が認められ補助金を得た。


海浜植物保護センターの建設

 ハマナス薫る緑豊かな石狩浜を、憩いの場にすることは市民の願いで、市の重要な環境政策のひとつである。これまで44ヘクタールを保護区に指定、公園化等の対策を図ってきた。
 しかし、より保護地域の拡大や規制対策の必要性を考え、市民と協議「市民が考える石狩浜づくり」の実践拠点に、海浜植物保護センターの建設を決定、今年4月完成した。このセンターは、保護グループ等が中心の、海浜植生保護管理計画作成の資料蓄積・収集の場である。同4月海岸法が改正・施行。市民活動と行政の積極的な取り組みが効を奏したと自負している。