「ふるさとづくり2002」掲載 |
<企業の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞 |
白山麓の魅力を伝え地域活動の活性化を図る |
石川県河内村 東洋アーツ有限会社 |
山麓の伝統文化と素晴らしい環境を多くの人々に伝えたい 白山麓は福井県との県境に位置し、1町5村が集まる山間のみどり豊かな地域である。百名山で知られている霊峰白山とそこを流れる清く美しい手取川に囲まれた白山麓はまた、独自の古い伝統文化を持ち、今に生き続けている。 自分たちの生活するこの素晴らしい白山麓と、そこに息づく魅力的な人々を知ってもらい、地域の活性化を図ろうと奮起したのが「東洋アーツ有限会社」である。 季刊誌「自然派マガジン 山女」の創刊 白山麓の季節ごとの旬な、地域に密着した情報を伝える雑誌として、平成8年4月に「自然派マガジン 山女(やまめ)」は創刊された。古くからの伝統文化と、素朴であたたかい人々の魅力を豊かな自然と折り込んで伝えていくというのが大きなテーマである。"自然派"というのは、白山麓の自然と、自然体の自然である。時代の変化とともに少しずつ変わってゆく白山麓の自然や人、あるがままを、流行にとらわれない確かな目で見つめたうえで、その古き良き文化、伝統、風習を絶やすことなく語り継いでいくという役割も果たしている。 〜「山女」ネーミングの由来〜 企画から取材・編集を手掛けているのは地元の女性が中心となっていることから、"山麓に住む女性"、"山女"。また、清流にしか棲まない渓流魚ヤマメは、慈悲深くも厳しい自然の中に生き、清い流れの底から移りゆく自然や物事、人々を眺めている。そしてその姿は美しい。そんなヤマメのように、白山麓を見つめていきたいとの願いから「山女」と名づけられた。 やまめ土蔵ギャラリーの開蔵 白山麓に住む人々は、大なり小なり一戸に一つ"土蔵"をもっている。新しいものを作るのではなく、今あるものを生かし、それを多岐にわたって活用することによって、地域交流や民俗文化の継承に役立てようという試みである。具体的には、地元で制作活動をしている作家らの作品発表の場となったり、地域住民の話し合いの場として提供したりしている。勉強会や、講演会、ライブコンサートや地元のおばあちゃんを招いて昔話を語ってもらう等、さまざまな活動を繰り広げている。 多彩なイベント事業のプロデュース 平成13年秋に、首都圏在住者を対象にしたモニターツアーのプロデュースを手掛けた。それに先駆けて白山麓独自の魅力のPRについて熟慮に熟慮を重ねた。白山麓の秋の自然と味、それに伝統文化、人のあたたかいおもてなしのこころなど魅力満載のプログラムは、参加者らにその良さを伝え、白山麓への誘客についても様々な意見や提案が出された。地元の人からは出てこない様々なものの見方や空気に地元住民に活力を与え、それを取り入れていこうという努力も見受けられた。その甲斐あってか観光客も徐々に、しかし着実に増えてきている。 平成17年に白山麓は広域合併を迎えるが、各村の良さを引き出し、よりよい地域づくりにしようと懸命である。現在、各村の代表と企業を集めた「白山麓e―リンク研究会」を立ち上げ、IT活用による合併課題の解決とさらなる地域活性化を図り、一つの良いモデル地域となることを目指して鋭意努力している。また、白山という素晴らしい山を多くの人に知ってもらうために、毎年初心者を募って白山の登山会を行っている。今年で7回目を迎えるこの行事は、夏になると花で埋めつくされる白山のことがよくわかる、と毎年好評であり、愛好家も増えてきている。 「山女」誌面上でイベントなどの告知や季節ごとの素晴らしい自然を紹介し、県内外を問わず広く観光客を集めている。打ち上げ花火的な誘客ではなく、白山麓をいかに深く、永く愛してもらい、またもう一度来てもらえるのかを考え、各役場の観光課などにも協力して企画・プロデュースしている。そして観光客はもちろん地域住民自らが楽しんで行えるようなイベントづくりが目標であり、願いである。「山女」創刊以後、自分たちの村だけしか見えていなかった村々は、他の村のことにも目を向けられるようになり、さらに人の輪が広がっていった。自分たちの住む白山麓個々の村の魅力を再認識すること、それが白山麓全体の活気につながり、"しあわせづくり"を支えていく。「山女」はそんな雑誌でありつづけたい。 |