「ふるさとづくり2002」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

この街に自分たちの手で彩をつけていきたい
北海道旭川市 ミュージカル「BREATH」ASAHIKAWA
 平成8年3月に発足した、ミュージカル「BREATH」ASAHIKAWAは、"この街に自分たちの手で彩(いろ)をつけていきたい"という素朴な発想のもと、以下の二つのテーマを掲げて活動を続けている市民団体です。

テーマ1…"音楽の街・旭川"に見合う作品を創造しようと考え、旭川市と周辺8町村の有志によって、総合芸術であるミュージカルを完全オリジナルで創りあげ、これを継続させてこの街に根付かせていく。作品のテーマは、旭川・近郊市町村を題材に創造し、上川の自然・文化に触れる素晴らしさを伝えていきたい。

テーマ2…いつでも助け合える仲間たちと同じ街で生活し、価値観をぶつけ合い、それぞれの可能性を模索する。そんな「人間らしさの追求」ができる街を創造していく。昔のような「井戸端会議」的空間が消えいく現代社会には、異業種交流が行えるコミュニティゾーンは必要不可欠なのです。その場所で自分の意識を高め、社会に貢献していく努力を創造する…私たちはその役割を担っていきたい。

 つまり、この街を好きな有志が集まって、その得意分野(舞台美術・音楽・ダンス・演技・制作等)を活かしてオリジナルミュージカルを創造する。でも、ただ創るわけではなくて、その創りあげるプロセスの中で仲間たちと叱咤激励を何度も経験しながら、皆さんで成長していこうと発足した団体なのです。
 「BREATH」は、6年の間に自主公演を6回、旭川主催のイベント「ミュージックアクト」に2回、旭川文化祭に参加しています。


自主公演

第1回公演
演目…「TIME…未来の声が聞こえる。」(1997年3月)
 記念すべき第1回公演は、コンピューターに支配された未来社会をテーマにした作品です。
 人は人に育てられ、可能性を磨いていく…つまり、無機質な未来社会を迎えないよう「人間らしさ」を追求し、空間を意識して創りあげた舞台です。
 舞台背景…旭川市

第2回公演
演目…「Heart…10年目の約束。」(1998年11月)
 この公演は、ファンタジックに創りあげた作品。
 人間は天国で生まれ、一生涯に一度、下界(人間界)に修行に行かなければならない。修行に行く先々で起こる出来事…。「約束の大切さ」「継続の難しさ」「義理人情」をテーマに、天使を主役とした舞台です。
 舞台背景…旭川市嵐山

第3回公演
演目…「again…輝ける場所。」(2000年5月)
 この公演は、戦後間もない昭和23年を舞台にした作品です。
 すさまじいインフレにより生活必需品の価格が何倍にも膨れ上がり、人々の生活は困窮を極めた世界を、リバティー(自ら戦って獲得する自由)を柱に「恋」「友情」そして「夢を持つことの素晴らしさ」を描いた舞台です。
 舞台背景…旭川市宮前にある廃校

第4回公演
演目…「ROOTS…想いは時代をこえて。」(2001年11月)
 この公演は、源義経と武蔵坊弁慶を柱に過去から未来へつなぐ想いをコミカルに創りあげた作品です。
 戦乱の世から現代にやってくる義経と弁慶の「希望」と「挫折」。義経記を題材に「運命(さだめ)は自分でつくるもの」をテーマにした舞台です。
 舞台背景…上川郡東神楽町の義経公園がメイン

札幌公演
演目…「ROOTS…想いは時代をこえて。」in札幌(2002年2月)
 北海道主催の北海道舞台塾に招かれ、札幌ちえりあ生涯学習センターのホールにて公演を行いました。
 旭川での第4回公演とは多少違う演出・脚本・舞台装置で臨み、沢山の方々からとても心温まる素敵な評価を受けました。

BREATHファミリー公演
演目…「ナツヤスミ語辞典」(2001年2月)
 この作品は「キャラメルボックス」という劇団の作家「成井豊」氏が書いた本をミュージカル調に脚色して公演いたしました。
 BREATH新人公演として行い、中学生(思春期)が感じる素朴な想いを伝えることを目標にした舞台です。
 舞台背景も旭川市の某学校と変更して、大人と子どもの相違関係をテーマに描いた作品です。


旭川市主催…「ミュージックアクト」

 旭川で活躍する各文化団体が、教育委員会の提案した官民一体型構想に賛同し行った舞台です。
 「BREATH」スタッフは、舞台の脚本・進行を担当しました。

旭川ミュージックアクトVol.1(1998年2月)
 この作品は、旭川の歴史をテーマにして脚本を作りました。
タイトル
1.旭橋(旭川で最初に造られた鉄筋の橋)
2.氷点下41度(日本で最も寒い気温を記録した街)
3.花電車(旭川の電車の歴史をコミカルに表現)
4.買物公園(日本初、旭川の歩行者天国の歴史)
 このオリジナル4作品を発表。

旭川ミュージックアクトVol.2(2000年2月)
 この作品も「BREATH」スタッフが童謡・唱歌をテーマに構成しました。
 童謡ミュージカルに初挑戦。花・おぼろ月夜・夏の思い出・赤とんぼ・しゃぼん玉等をダンスに乗せ披露し、観客をわかせました。


旭川一条通病院

 患者さんたちへの慰問公演。
 内容は、第2回公演「Heart」のショートバージョンと「演歌の花道」コントを行いました。


その他

 旭川の文化芸術団体が募って行った旭川文化祭に参加しました。
 この祭事は、旭川文化芸術の日頃の成果を展示したり、上映したり、ミニライブを行ったりして、旭川市民に地元文化を発信する役割を果たしています。
 また、異業種交流を精力的に行い、自分たちの手で地元の文化を活性化できれば「こころ豊な街づくり」に少しでも貢献できるのではと考えています。
 その他の活動では、地元のお祭りにも参加し、「人が人の可能性を創っていく」という事実を「経験」というカタチで伝えていきたいと思っています。
 第3回公演の台詞の一節にこんな言葉があります。「人は瞬間・瞬間を生きていて、その瞬間に対応するために沢山の経験を心で感じ取らなければならない。何故なら…経験は、私たちを大人にしてくれる大切なエキスだから」
 私たちは、この「経験」という言葉の大切さを感じ、団体を継続させていきたいと思っています。


「BREATH」舞台公演以外の活動報告

1.第1回「BREATH」合宿(1999年9月…国立大雪青年の家)
・演劇セミナー
・ヴォイストレーニング、ダンス指導、演技指導
・ミニ公演(キャラメルボックスの台本を使用)

2.旭川夏祭り(2000年8月…旭川市中心部)
 商店街主催のイベントに招待参加。華魁道中を「BREATH」のキャスト・スタッフにて構成・演出、参加する。

3.第2回「BREATH」合宿(2001年6月…国立大雪青年の家)
・第4回公演「ROOTS」上演台本、読み合わせ
・ヴォイストレーニング、ダンス指導、演技指導
・ミニ公演(第3回公演「again」の台本を使用)

4.花火in神楽(2001年8月…神楽河川敷)
 「BREATH」のPRを兼ねて露店を出店する。団体行動の大切さ、難しさをスタッフ一同、理解した1日でした。
実績…鳥串・豚串、合計で3300本、飲料水200l以上。

5.異業種交流(2002年5月…桜の木の下)
 「BREATH」スタッフだけに限らず、沢山のお友だち・ファミリー会員が参加して、お花見をする。

6.ラジオ番組(放送中…FMリベーる)
 2000年3月より、「BREATH」スタッフにて番組を制作し隔週で放送しています。