「ふるさとづくり2003」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり賞 内閣官房長官賞 |
宮澤賢治の思想精神を受け継ぎその実践 |
岩手県花巻市 特定非営利活動法人花巻文化村協議会 |
花巻文化村協議会は、世界全体が幸福になることを願って、宮澤賢治の精神を実践する場(現代版羅須地人協会)として設立された市民団体です。「宮澤賢治の思想精神を受け継ぎ、その実践をとおして豊かな市民社会の構築を図る」ことをミッションとして、1600坪の敷地に、創造、癒し、交流の空間として、築250年の農家を改装した母屋(ギャラリー、喫茶)をはじめ、陶芸棟、創作棟、多目的ホール、自然を生かした風の林、栗の木広場、賢治の森、ポラーノの広場、めだかの池を舞台にさまざまな活動を展開しています。 現在の活動概要 現在の活動は、花巻文化村事業とボランティア活動支援事業との二つの事業に区分されます。 花巻文化村事業では、地域コミュニティの再生にむけた高齢者と子どもたちの世代間交流事業、地域における体験学習の受け皿機能としてのわくわく体験講座、芸術文化の振興のための文化イベントの開催、地域の伝統技術や産品を活用した地場産品の開発等多岐にわたる事業を展開しています。 ボランティア活動支援事業(中間支援事業部)では、NPO活動に関する情報提供、法人化支援、ネットワーク事業、インキュベート事業、セミナー事業をおこなっています。 法人化支援事業では、これまでに4法人の法人化支援実績があり、現在二つの法人化を支援中です。また、ネットワーク事業では岩手県内の中間支援NPO6法人と連携をとり、NPO支援プラットホームを設置し、県内の中間支援事業に貢献しています。インキュベート事業においては、花巻空港緩衝緑地の整備運営管理をおこなうNPO設置に向け、岩手県より事業受託を受け、県民参画のワークショップも運営しています。セミナー事業においては、岩手県のNPOセミナー受託実績もあります。 以上のような活動が評価され、今年度は岩手県の設置する「いわてNPOサポートルーム」の運営も委託され、全県化のNPO活動支援活動を本格的に展開中です。 各事業について 1.花巻文化村事業 (ア)アトリエ事業 木版画事業、商品開発事業、セミナー事業の仕事をとおして若手作家の育成を図っています。また、育成を通じて結果的に商品開発事業へとつながっています。 商品開発事業においては、地域の資源を活かした地場産品の開発事業においては、花巻地区広域観光物産振興協議会から、ポスター及び包装紙のデザインを受注し、1市3町の続き絵ポスターを作製しました。このポスターは全国的にも珍しい4枚組の続き絵のポスターで、各イベントで活用されました。その他、花巻商工会議所から「賢治ふるさと情報館商品企画・開発・制作」を受注、大迫森林組合から「循環資源デザインネットワーク」パンフレットデザイン、千厩町より観光パンフレットデザイン受注、社団法人岩手県治山林道協会から「ふるさと林道金矢大沢線橋梁デザインプレートデザイン」などを受託しました。 平成15年3月5日〜10日の6日間、社団法人岩手県貿易振興協会が主催する「宮澤賢治のふるさと大いわて展」(東京日本橋高島屋)にも企画の段階から参画し、テーマの設定支援、イメージゾーンとして出展した。また、宮澤賢治をテーマにした、日めくりカレンダー、ポストカード等の商品開発をおこないました。 (イ)セミナー事業 (1)世代間交流事業 世代間交流事業は、高齢者と子どもたちの交流の場をつくり、高齢者の社会参画、生き甲斐創造を図る活動をおこないながら、地域で子どもたちを育む、高齢者を中核とした地域コミュニティづくり事業です。 本年度は、昨年から始めた「わくわく体験セミナー」の世代間交流事業の発展形として「いきいき倶楽部」を設置し、高齢者と子どもたちの世代間交流体験教室の開催、高齢者を指導者とした地域の文化、知恵の伝承講座の開催をおこなっています。 (2)体験教室 体験教室は、地元の方々や子どもたちにさまざまな体験をしていただこうという事業です。木版画、陶芸、そば打ち、押し花、木版画(摺り)、針金細工、夢あかり、ボランティアなどの体験を通じて年間約300名が参加しています。 (3)風の子自由教室 風の子自由教室は、花巻市教育委員会と連携し、不登校児を対象として、平成14年9月より平成15年3月までの期間に交流会2回、自由教室12回を開催しました。地域の13名の不登校児がそば打ちや木版画などの芸術体験を楽しみました。この教室を終えた後、不登校児は全員、学校へと戻っていきました。 (4)商品開発セミナー 岩手県地域振興課からの補助により、「地場産品を活用した商品開発のポイント」というテーマで、商品開発セミナーを開催し、花巻のブランドをいかに確立するかということを検討してきました。 (ウ)文化イベント事業 文化イベント事業では、食文化の交流を図る「美味しいもん会」4回、邦楽、ジャズ、民謡等さまざまなジャンルの音楽にふれる「ふくろうの森の音楽会」(毎月1回)、地元に伝わる「葛神楽」や「鹿踊り」などの伝統芸能をメインとした桜まつり等の開催を通じて、地域文化の保存・伝承のみならず、文化の振興や交流も図っています。 (エ)各種受託事業 (1)花巻空港緩衝緑地 花巻空港拡張工事に伴い、新たに作られる緩衝緑地について平成14年9月に下記の事業を受託しました。 〈受託内容〉 →空港本体及び周辺施設の連続性を形成する回遊導線に関する具体案の検討。 →緩衝緑地における植生の選定配置及びビオトープ等の具体的施設とその配置の検討。 →各施設における地域住民参加による施行方法と管理手法の検討 平成15年2月8日までに、全6回のワークショップには延べ263名、地域検討会、出前ワークショップ等を加えると全体で延べ644名が参加して、新たに作られる緩衝緑地について検討をおこないました。このワークショップでの検討結果のなかから、「環境羅針盤」というキーワードを基本理念として抽出し、地域との共生、いわての自然・文化との共生等を緩衝緑地整備運営管理の理念として報告書をまとめました。 2.ギャラリー事業 創作空間としての作品を展示販売するスペースとしてギャラリーを運営しています。アトリエメンバーによる木版画、タブローの他、有志による個展も開催しています。 3.喫茶軽食事業 花巻文化村を創造、癒し、交流の空間として捉えた場合、ゆったりと和みながら食文化の発信をする場として喫茶軽食事業を捉えています。ここでは花巻産のそば粉と地粉による手打ちそばを提供しています。この6月には韓国でおこなわれた国際観光博覧会に日本代表として、そばうちの実演に招待され出展してまいりました。 4.ボランティア活動支援事業 ボランティア活動支援事業では、地域のボランティア活動や市民活動団体に対して、活動の場の提供、情報の提供、NPO経営や活動に対する指導、連携の促進などの支援をおこなってきました。 利用の場提供では、昨年度は、約40団体、1637名が施設を利用し好評でした。また、情報提供支援については、NPO関連図書、補助金助成金情報などをボランティアルームで常時閲覧可能な状態にしています。さらに、宮野目長寿大学でのNPO講座、宮野目中学校での総合的学習でのワークショップ、「新しい公共創造」シンポジウムの開催などもおこなってきました。 NPO経営、活動指導では、地域の4NPO法人の設立から法人化、事業計画策定の指導をおこない、2団体に補助金申請指導を実施しました。また、連携促進支援では、4回の交流会を開催し、団体相互の交流を図り、連携促進の機能を果たしました。 平成15年度からは、県の設置する「いわてNPOサポートルーム」の運営を委託され、全県下のNPO活動支援を展開しています。 |