「ふるさとづくり2003」掲載
<企業の部>ふるさとづくり賞 主催者賞

おかみさんたち、「みつけ」づくりへチャレンジ
新潟県見附市  チャレンジShopV
見附市の現状

 当見附市は、新潟県のほぼ中央に位置し、ニット・織物を基幹産業として繁栄をしてまいりました。近年、長引く不況とあわせ海外からの輸入品におされ、倒産・廃業が相次ぎ、一時「自殺の町」とさえマスコミ報道され、深い影をおとしたことは記憶に新しいところであります。また、恵まれた立地は、大型店の相次ぐ出店を促し、本来地域住民のコミュニケーションの場であるはずの商店街は、後継者不足とあいまって急激に空き店舗化が進み、その様相を一変させ、本来の機能さえも失っているといっても過言ではない環境におかれています。


チャレンジShopV発足
〜まちづくりへの心おこし〜

 平成13年11月、当見附商工会女性部と、隣市で同じ繊維を産業とし、人口減少に拍車がかかる栃尾市の栃尾商工会女性部との合同セミナーを開催し、共通の課題である商業者の生き残りと商店街の賑わいを取り戻したいと「まちづくりアドバイザー」を講師に「いま、商店街が面白い」というタイトルで、全参加によるワークショップを実施しました。
 「商店街で何ができるか、どんな商店街にしたいか」について、初めて経験するワークショップを楽しみながら、立場を超えて貴重な知恵と経験を協働提案し合い、「店が良くならなければ町が良くならない。町が良くならなければ店が良くならない」と店と町は一体であり、個店の魅力づくりを進めると同時に、力を合わせて魅力ある町づくりをすることが大切であるということを再認識いたしました。
 「鉄は熱いうちに打とう」と、参加者からの発声により市内商業者を中心とした女性有志が集い(スタート時、商業者の他に、ニット製造業、建築業、理美容業、畳製造業、エステ、料飲業…)、「女性ならではの感性で、住みやすく生き生きとした魅力あるまちになるよう、楽しくゆとりを持って『まちづくり』にチャレンジしよう」との共通認識のもと、「今はじめよう、みんなで、楽しく、すぐに、できることは」をテーマに、「商店街で欲しいもの、やってみたいこと」について、数回のワークショップを重ねました。その結果、「マップの作成」と「四つの(お茶をどうぞ・トイレをどうぞ・イスをどうぞ・荷物を預かります)サービス」を実施しようと意思統一がなされ、小さなチャレンジがスタートしました。


「いいものみつけによってけてェ」事業スタート
〜さらにステップUpへ〜


 「できることは自分たちの力で」をモットーに、自店のPRメッセージや見附市のPRを盛り込んだマップ、「四つのどうぞ」の共通ステッカー、そのステッカーを貼る看板の製作を、全員参加の手作り作業でおこない、女性ならではのやさしく、温かみのある「マップ」と「看板」ができあがりました。
 ネーミングも見附市の「みつけ」を取り入れ、お寄りくださいという言葉を見附市方言で表現した「いいものみつけによってけてェ」とし、クリスマス商戦・年末商戦に突入しているものの、目標設定日の12月20日にメーキャップが完成し、地元紙「見附新聞」にも大きく取り上げられ、新しい見附市の顔として産声を上げました。
 事業スタートから慌ただしく年末・年始・卒業・新学期シーズンを迎え、さらなる事業効果を深めようと、再度ワークショップを実施し、生産された多くのアイデアの中からステップUP事業として、平成14年4月6日から毎月6日を「いいものみつけによってけてェサービスデー」と設定し、日頃のお客様への感謝の気持ちを込めて、各店のオリジナルのサービスを提供しています。
 また、前日の5日には「おかみさんたちのチラシ手配りPR日」として、お客様とのふれあいを大切に、手作りのチラシ(表が見附市のマップ、裏に各店のサービスコメントが記載されている)を街頭にて手配りするとともに、店頭はもちろん、バス停・銀行窓口等に置かせていただいたり、月末請求書と一緒に配布したりしながらPRに奮闘しています。4か月に1回新聞折り込みをおこない、見附市内全戸(一部市外)にもPRしています。新聞折り込みの効果は抜群ですが、無理のない会費(月額500円)のなかでの事業運営のため、お客様とのふれあいを大切にしたメンバーの日頃のPRこそ、事業効果をより高めるものであるという認識が浸透したことの方が、意義深いものだと自賛しているところであります。
 日頃の「四つのどうぞ」は優しいまちづくりとしてとくに高齢者の方々から好評を得ており、6日の「サービスデー」は市外客までもが心待ちにしているという事業の成果に、少しずつではありますが、元気印の商店(街)として認知され、支持層が拡大しつつあることに心強さを感じています。


環境問題・空き店舗対策事業への取り組み

 事業の展開のなかで、主婦の立場から環境問題に目を向け、地場産業のニット残反で製作したマイバッグを約300枚、アンケート用紙とともに各店頭で無償配布し、スーパー袋削減のための意識調査を実施いたしました。近い将来予想されるゴミ有料化に備えて、アンケートから得た意見をもとに、行政へ意見具申していきたいと考えています。現在導入が検討されている地域通貨と合わせ、行政と連携しながら今後もマイバッグ運動を推進し、見附市活性化の一助を担えればと考えています。
 また、商店街の賑わいを取り戻したいとする観点から、毎年開催される見附まつりに合わせ、空き店舗を利用した「よってけてェShop」を2日間ではありますがオープンさせました。「お茶をどうぞ」「トイレをどうぞ」「イスをどうぞ」「荷物を預かります」という四つのサービスの提供は、祭りの参加者・見学者から大好評を得ることができました。今後事業を進めるにあたって、空き店舗対策への取り組みのノウハウをも勉強する機会を持てたことが大きな自信につながりました。


「新春特別イベント」実施

 平成15年新春特別イベントとして、隣市の長岡市にあり、古くから商売繁盛の神様として知られている高龍神社の神主様よりご祈祷いただいた5円玉を景気回復・家運隆昌の「招福御縁」縁起物として、約4000枚を来店者にサービス配布し、お客様へ日頃の感謝の意を表するとともに、景気早期回復を祈願しました。


チャレンジShopV新たな展開へ

 このような小さな小さな取り組みが、民放・地方紙・ミニコミ紙等でも取り上げられ、志を同じにする各種団体、親会である商工会、そして行政からも注視され、各種委員への委嘱要請を受けるようにもなり、地域活性化への提言を述べる機会も増え、スタート当初の目的が大きな輪となっていることに、むしろその責任の重大さを感じるようになってまいりました。
 この夏、郊外の北陸自動車道中之島見附IC近くに約5000坪の床面積を有する超大型店がオープンする予定で工事が進められています。
 大型店同士の競争激化のなか、また合併議論が高まるなか、はじき飛ばされそうな見附市の商店(街)ではありますが、個店個店に磨きをかけ、賑わいのある商店街が取り戻せるよう、見附市に誇りを持ちながら生きていけるよう、これからも一歩一歩着実に前進したいと思います。
 本年はとくに中心商店街の空き店舗を有効利用することに主眼を置き、活動を展開していきたいと考えています。高齢者の製作による手工芸品、介護関連用品、地場産ニット製品、農産品等々の展示即売、各種の体験コーナー等々まだ具体化されていませんが、当初の目的を念頭におきながら、コミュニケーションの場づくりを創造したいと思います。