「ふるさとづくり2005」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞 |
未来の地球をになう子どもたちの豊かな成長を願って |
岐阜県瑞穂市 特定非営利活動法人キッズスクエア瑞穂 |
私たちは、子どもたちの豊かな成長を願って、子育て(乳幼児から高校生)にかかわる親やすべての子どもたちを対象にした活動を精力的に展開しています。 「特定非営利活動法人キッズスクエア瑞穂」の前身は、「本巣南子ども劇場」です。会員の親子が生の舞台を鑑賞したり体験活動をする団体でした。2002年4月のNPO法人化にあたり、会員だけでなく地域のすべての子どもたちを視野に入れた活動に広げていこうという思いで、 ・お母さんのための託児つきリフレッシュ講座「こっこクラブ」 年間60〜70回 ・学校週5日制に対応した親子体験講座「かるがもクラブ」 年間5〜10回 ・自然体験活動「かわせみクラブ」 年間20回程度 を新たに始めました。 中・高校生にも託児体験を 「こっこクラブ」は乳幼児を育てているお母さんたちが、月に1〜2回でも、子どもと離れて自分の時間をもつことで、子どもにもっとゆとりを持って接することがでるのではないかと考えて始めました。子どもを先輩ママの託児に預けて講座(クッキング・エアロビクス・ビーズなど7〜8講座)に参加する中で、子育てのことを話せるママ友だちができたり、託児をして下さる先輩ママとのつながりができたりして、人とつながりながら子育てができる地域づくりに少しでも役立っていると感じられます。このこっこクラブには年間で延べ400〜500人のママが参加しています。また、2002年の岐阜県の子育て支援事業コンクールで優秀賞をいただくこともできました。 また、このこっこクラブの託児の部屋を生かして、次の活動に発展させています。2003年度から新たに取り組んだ「10代の子育てボランティア体験」がそれです。これは、次世代育成の視点から、地域の中高生に「こっこクラブ」の託児に加わってもらって、乳幼児とのふれあいを体験してもらうという企画です。夏休みを利用して、男女30人ほどの中高生が丸1日の養成講座受講後、5〜6回の託児体験に参加してくれました。自分の子どもを抱くまで赤ちゃんを抱っこした経験がないというパパやママもいるというこの時代、乳幼児とふれあう機会は地域の中で意図的に作り出す必要があると思います。2005年度は新たな展開として、地元の中学校と連携した活動にしていこうと進めています。一般に募集するやり方では、一部の興味のある中高生しか体験できないし、どうしても男子の参加が少ないので、男女ともできるだけたくさんの若者に赤ちゃんとのふれあいを体験させてあげたいと考えたからです。巣南中学校の家庭科(保育)の授業を使って、2年生(4クラス)の生徒全員が1年間に2回赤ちゃんとのふれあいを体験できるように計画中です。これは、私たちから中学校に働きかけて実現した活動で、地域の子どもたちを地域の人たちみんなが関わって育てていこうという意味からも、価値のある事業だと考えています。もちろん、夏休みには昨年同様、市内全体に募集して、巣南中学のほかの学年、ほかの中学・高校の生徒も参加できる形の乳幼児とのふれあい体験も実施します。 思春期の子どもたちが赤ちゃんに接することは、命の重さや大切さを肌で感じたり、自分もこんな風にいろんな人に支えられて大きくなってきたんだということを知ったり、教科書だけでは得られないものが得られる貴重な体験です。 四季折々の自然体験を 自然体験活動「かわせみクラブ」では、小学校4年生以上の子どもたち30人ほどが、アジト作り・野外遊び場作りに取り組んでいます。活動支援会員のお父さんたちと一緒に、5月から12月までの毎月2回の土曜日に活動しています。最近の子どもたちは、「夏にはクーラーのかかった部屋でテレビゲーム」なんていう過ごし方も多くなっています。かわせみクラブの活動では、炎天下にものこぎりで木を切り、釘を打ち、汗をいっぱいかきながら取り組んでいます。夏には流しそうめん、冬には豚汁作り、秋にはトラックいっぱいの藁で遊ぶなど四季を感じるおもしろいこともいっぱい体験しています。そんなふうに過ごす中で、自然の中で発見した遊びは、ゲームなんかには負けないすごい魅力があることを知る子どもたちもいます。焚き火に突っ込んだ金属棒を金づちでたたくと刃物のようなものができることを発見して、夢中で1時間でも2時間でもやっていたり、藁の中に残ったもみを火の中に入れてうまく焦がすとぽんはぜができることを発見して何回も何回もやっていたり。かわせみクラブに来なかったら経験できなかった遊びを見つけ出しています。3年たったこの活動の中では、大人が「子どものために」と頑張りすぎてはいけないということを学びました。指示をしたり教えすぎたりしないで、大人自身も自然の中で楽しむことがとても大切だと感じています。どんなアジト(建物)ができあがるかではなく、子どもが何を発見したか・体験したかということが重要だと感じています。 子育て支援活動の拠点に また、2003年度には、岐阜県からの助成をうけてのコミママプラザモデル事業も始めました。乳幼児連れの親子の居場所作りと一時預かりにも対応できる「キッズパーク」事業です。この「キッズパーク」事業では、新たにキッズパークスタッフ(現役ママで)を構成して、乳幼児を持つお母さんたちの悩みや思いに寄り添いながら、心のつながりをもちつつ、一緒に子育てを楽しめるような活動にしていこうと取り組んでいます。ベビーマッサージや「ベビースリング講習会」「救急救命法」などの子育て講座も毎月実施しています。キッズスクエアの事務所が、地域の子育て支援活動の拠点になっていきつつあることを感じています。 当団体の運営や事務に携わるメンバーはほとんどが子どもをもつ主婦で、事務局員・運営委員・講座の講師・託児の提供会員など100人以上の人たちが、少しずつの時間と知恵を出しあいながら活動を支えています。 最初は、活動に参加するだけだった人が、参加する回数が増え、関わりができるにしたがって、準備や計画に主体的にかかわるようになってきています。今の若いお母さんたちは、ともすると企画される行事に参加するだけの方が楽で楽しいと考えがちですが、実際は、自分が何かの役に立てるということを活動の中で実感できることのほうが何倍も楽しいことに気がついていきます。そして、それが地域のみんなにいろいろな形で認められることでより自信になってきています。 これは、子どもたちにもいえることで、私たちの活動の中の小旅行や子どもまつり・よさこいソーランなどでは、異年齢の子どもたちが相談したり、誘いあって練習したり、内容を発案したりする姿が出てきました。ここが自分の居場所だと感じて、自分の考えや思いを素直に出し合え、賛成したり反対したり、いろいろな人間関係を経験できる場になってきていると感じます。 「瑞穂市に引っ越してきてよかった。キッズスクエアがあったから」という声も最近よく聞くようになりました。 支援された側が支援する側に 今後は、子育て支援の活動(キッズパーク・こっこクラブなど)を通して、乳幼児をもつ層の母親・父親とのつながりを作る中で、子育てについてともに考え、地域で取り組んでいける人と人のつながりを作っていきたいです。支援された側が次は支援する側に動いて、ともにつながっていける活動に発展させていきたいと考えています。 「乳幼児からの年齢別性教育講座 わくわくからだたんけん」や、「10代の子育てボランティア体験」の取り組みなどを通して、命の誕生について、また命の尊さ・命を育てること・親になることなどについて考え、学ぶ機会を今後も作り出していきたいと思います。 かわせみクラブの活動は現在4年生以上に限定していますが、自然の中での活動は子どもたちにとってとても大切だと思うので、もっと小さい子たちもアジト作りの場所に集まって、自然体験活動ができる機会を作っていきたいと考えて2005年度は新たな活動を計画しています。 |