「ふるさとづくり2005」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

花の輪人の輪(和)幸せの輪
兵庫県淡路市 ガーデンクラブ バーベナあわじ

 バーベナあわじは、淡路島全島に会員110名を有するガーデンクラブである。


発足の経緯

 平成7年阪神淡路大震災でわが家は半壊、片付けで腰を痛めた私は、震災2日後に入院のはめになったが、余震の続く不安な日々、93歳の姑を残してもおけず、院長にお願いして同じ病室に入院させてもらった。1か月後に退院、その後、姑が心筋梗塞で入退院を繰り返し、翌8年3月、姑の死去と悪事が続いたが、病室に挿された一輪の花や庭先の花に癒されながら乗り越えることができた。
 平成9年、友人に誘われてニュージーランド、クライストチャーチ市へ旅行した私は、美しい景観の素敵な街並と住民の旅行者への温かい眼差しと笑顔に感動!
 この街の人たちはなぜこんなに温かい気持ちをもっているのだろうか、コンテストで入賞した個人の庭園を訪ねた際、広大な面積の見事な美しい庭園に感激したが、庭の手入れが大変だろうと考えていると、2人だけで管理しているという庭主の老夫婦が、「花からこんなに元気をもらっているのよ」とガッツポーズでにこやかにほほえんだ。
 花は見る人の心を和ませ、花づくりに携わることでやさしい心が育まれる。花と緑の美しい環境こそが人々の心を豊かにしている根源なのだということを、この街に来て感じることができた。
 そうだ、震災復興に役立つのではと、淡路島を「震災の島から花の島ヘ」との思いが込み上げた。帰国後すぐ、全島にいる友だちに呼びかけ、10年8月設立、10月会員58名で、設立総会にいたった。会名は「バーベナあわじ」、バーベナの花言葉は「ふれあい」、宿根草で繁殖力旺盛、花色が多く開花期が長く、淡路の気候に適している等、バーベナの特性に着目し、バーベナのように根を広げ発展することを願って命名。


発会の主旨と理念

 経済路線を突っ走った結果のバブル崩壊、環境破壊、少子高齢化と急変する社会の中で反省と癒しが求められている現在、「自然との共生」、「環境保全」の大切さを再認識し、各自の花づくりの「点」が「線」に、「線」が「面」となるようコミュニケーションを培い、パートナーシップを高める活動をしよう。花づくりから人づくりへとその輪を広げ、人によろこばれることを自分のよろこびとする生き方をしよう。淡路島が住む人にも訪れる人にも心地よい魅力ある島になるよう活動しよう。花を通してみんなが幸せを共有できる社会づくりを目指して活動しよう。
 バーベナ宣言
 “花で仲間と幸せを”
 Friendship and Happiness through Flowers


活動内容

 沿道・施設緑化、ふれあい人づくりグリーン福祉、緑花啓発、環境保全の4本柱で活動している。
 現在7か所の沿道花壇の修景管理を継続。日常の灌水は2人1組のローテーションで、植え替え剪定等の大きな作業は担当会員全員と小学生に呼びかけ楽しく協働作業。
 独居老人、老人ホーム入所者、障害者の方に、会員が育てた花でフラワーアレンジメントや寄せ植えでふれあって、とてもよろこばれている。ことに精神障害者の作業所を訪ねた折、目を輝かせ、生き生きと取り組んでくれて、すばらしいできばえには驚いた。職員の方からも「あんなにキラキラ輝く目は初めて見た」とよろこばれた。園芸療法の効果なのかもしれないと思う。
 会員の緑花意欲と技術の向上を図るため、園芸実習講座や先進地見学研修会を催している。また、一般公開講演会、全淡寄せ植え展の開催、イベント参加(島まつりおどり大会)等による緑花推進啓発活動や、淡路景観園芸学校開校当初よりアルファメイトとして学校を訪れた方へのガイドボランティアを行ない、ジャパンフローラ2000ではカナダ庭園の支援団体として地盤整備段階からナイアガラ園芸学校の指導を受けながら作業を行ない、会期中は庭園のガイドと管理にあたった。また、カナダスタッフ15名と交流会をもち、おにぎりやおでん等、日本の食や茶道・華道の日本の文化も体験してもらって楽しく盛り上がった。
 その他、県主催の花を愛でる会のガイド、シンポジウム、フォーラム、精神保健福祉大会や、淡路景観園芸学校主催の国際園芸療法サミット等の会場花装飾にもあたって好評だった。国営明石海峡公園の事業、ゴールデンウィークの寄せ植え講座でも来場者の人気を呼んだ。淡路花博記念事業協会の事業、「淡路菜の花1000万本」では、淡路佐野運動公園や沿道花壇への植栽に積極的に取り組んだり、4月13日、14日、15日、新潟県山古志村被災者仮設住宅の花壇植栽にも参加する等、参画協働している。


活動の成果

 活動を始めて8年目、会員の高齢化の不安もあるが、毎年何名かの新入り会員もあり、昨年の台風23号の水害では、床上浸水となった会員宅へ駆けつけ泥土の搬出作業をする等、花の輪の絆が救援助活動の輪となり役立てることができた。これは私たち会員にとって尊い体験と大きな喜びであった。私たちの活動の花の輪が着実に人の輪となり幸せを共有できる輪となっていることを実感した。
 また、島まつりおどり大会での緑化PRはケーブルテレビで何度も放映されたことで、島民、各家庭の緑化への関心が高まり、沿道の家のほとんどが花で飾られるようになった。
 これからも、小中学生、老人、障害者、住民、グループ、学校、公園、各協会、企業、行政と連携して、淡路島が「心豊かな花の島」となるよう、より一層励んでいきたいと思っている。
 そして花卉栽培の盛んな淡路島がオランダのような花王国として発展し、世界へ花の文化を発信していけるようになればと願っている。


表彰歴
平成12年 人間サイズのまちづくり賞(兵庫県表彰)
平成13年 ふるさとづくり賞(平成13年兵庫県優秀賞)
平成14年 くすのき賞(兵庫県表彰)
平成15年 こつこつ賞(ひょうごボランタリープラザ表彰)
平成16年 県立淡路景観園芸学校長感謝状
平成17年 国土交通大臣表彰感謝状