「ふるさとづくり2005」掲載 |
<企業の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞 |
地域各種団体等との連携による古紙再生での資源再利用と環境保全 |
大分県大分市 大分製紙株式会社 |
会社の歴史と経営理念 当社は大正7年に操業開始した地元工場としても最古の歴史を持つ工場であります。太平洋戦争中の戦災による焼失、再建を経て昭和28年より現経営体制の下で代表的地場工業として発展してまいりました。当初のチリ紙製造からトイレットペーパー中心へと変遷はありますが、この間、古紙再生による良質・安価な家庭用衛生用紙の安定供給をモットーに地域に密着した事業努力を続けてまいりました。 この間、昭和48年のオイルショックによる「トイレットペーパー騒動」は大きな試練でありました。当時、流言による買い占めなどで全国的に品不足はパニック状態となり、事態収拾のため、当社の前社長が緊急輸入交渉に香港に飛び、その成功でようやく沈静化へ向かう等の歴史的な経験もあります。 また、昭和30年〜40年代の全国的に問題が発生した公害対策には、全国業界のリーダーとして早期から真剣な取り組みを行ないモデルケースとの高い評価を受けました。 現在では、再生紙原料のトイレットペーパー・メーカーとしては全国トップ企業の立場になっていますが後述の経営理念の下、企業努力を続けています。 「経営理念」“地域と共に発展する”を経営の信条とする。 一、作業の安全確保と地域環境の保全を第一とする。 一、徹底した生産管理を行ない、良品低廉な製品づくりに努める。 一、活力ある職場づくりと生き甲斐のある生活の実現をめざす。 ◎上述のような企業努力は衆目の認めるところであったが、このたび、大分県知事より感謝状と認定証を受けた。 平成17年3月11日 大分県リサイクル製品認定証の交付 平成17年4月25日 大分県知事感謝状 「感謝状主旨」先駆的技術による美しく快適な大分県づくりへの尽力 活動の事例 @古紙の再生利用 早くから各種古紙を中心にリサイクルを実施。現在は月間8000トン近い古紙リサイクルによりトイレットペーパーを製造。 資源の少ないわが国でのリサイクルの重要性はますます大きく、また最近では環境問題解決への糸口としての役割にも非常に大きい期待をされています。 A牛乳パックの再生利用 ◇貴重な森林資源が原料の牛乳パックの再生利用は、現在では資源リサイクルの象徴的なこととなっている。消費者団体、各生協、量販店なども熱心に回収運動を行なっている。従って回収分の再製品化の重要性がより大になっている。 従来、再生不可能とされていた牛乳パックを新たな技術で再生可能な資源とし、さらに回収システムの構築にあたり当社と上記の各種地域団体等との情報交換や協力から生まれる信頼関係が地道なこの活動を支えています。 ◇ポリエチレン膜でコーティングされている牛乳パックを原料として再生利用するには技術的な難題も多く、また、採算性にも問題があった。しかし、大分製紙は早くも10年以上前の1989年(平成元年)に再生設備を作り、平成5年には本格的な処理設備の建設を行ない、全国的にも先行した体制で九州の「牛乳パック回収・再利用運動」の拠点となっています。 現在では大変普及した「牛乳パック回収運動」も九州においては大分製紙の存在なしにはあり得なかったものと言えます。 今後も牛乳パックから酒、ジュース等紙パック容器の使用拡大を目指すとともにますますその地域における役割が大きくなるものと思われます。 B住民・事業所総参加方式による地域密着型資源循環システム ◇大分市 独自ブランド「OITAグリーンペーパー」 平成15年の全国都市緑化フェアを機に市・婦人団体・生協等を中心に当社が全面協力し、市内家庭・事業所からの牛乳パック・コピー用紙等を芯なしトイレットペーパーに再生還元する方式を立ち上げた。 市関係施設をはじめ市内の家庭事業で広く利用され資源循環型社会を意識できる商品として評価されている。 ◇北九州市 地域オリジナルブランド「北九州紙えこっパー」 再生紙原料トイレットペーパーのシェア低下を心配する市民活動をベースにシンクタンク「もったいない総研フォーラム」が中心となって同市各界に働きかけ、地元回収分リサイクル製品の地元消費を目指すリサイクル地域システムを製品化を担当する弊社と共同で組織し、本格的活動を開始している。 同市で回収した牛乳パック等からの再生製品を同市で消費する地域循環方式であるが、また、販売1パックあたり1円を同市PTA協議会に寄付し環境教育の資金にあてる等ユニークな活動であります。 ☆両市の活動は、地域各層との密着によって初めて可能になるものとして全国的にも注目されている。両市の他こうした活動には全面協力をしている。 C事業所関係文書処理による原料再生 個人情報保護法の施行もあり機密保持に神経を使う必要があるため、従来、比較的に遅れていた事業所関係古紙の再生原料化にも新たな役割を担っています。機密保持の面でも当社の信頼性は高く、地元各地域はもちろんですが大分県以外の銀行・官庁・会社からの依頼も多くこの面での役割も大きく期待されています。 ◇宮崎県延岡市では、市役所など諸官庁と主要企業が組合を作り、従来焼却処分されていた不要書類やコンピュータ打ち出し資料等の使用済み文書を一括管理するシステムを弊社と共同で組織し、封印した使用済み文書を当社大分工場に持ち込み、再生した原料による「おかえりなさい」トイレットペーパーを製造、各企業等が引き取る。 こうした情報保護対策は同時に資源再生と焼却処分による環境悪化防止となり、三重の効果をあげていると言えます。 D廃棄日本銀行券や使用済みJR切符等、従来は再原料化不能とされていたものの再原料化実現 用紙の特殊性から、技術的にも採算性でも難点の多い紙幣や切符の再利用にも積極的に取り組み再資源化を実現し、最近、多くのメディアにも登場して全国的にも非常に注目されている。 E芯なしトイレットペーパー(商品名→コアレス、コアノン)の開発製造 在来のトイレットペーパーは、ロールの中心部に巻芯があり使用後はゴミとなっていた。当社は昭和62年からすでに製造過程の巻き取り技術の新手法を同業者と共同開発し、「芯なし」化に成功、消費者から大きな好評と支持を得ている。 「芯なし」製品の効用 ア 芯が不要なため資源節約、ゴミの節減 イ 長尺化で取り替えの手間が省ける ウ 芯による空間部が大変小さく運搬、保管上効率が良い F工場見学等を通じての“資源再利用”“環境保全”の啓蒙 牛乳パックの回収等で地域各団体も当社製品への馴染みもあり、小学校、生活学校、婦人会、町内会、生協、消費者団体等各種団体の見学が非常に多く、また、県内はもちろん県外からの来訪も多い。(年間見学者数5000名以上) また、各種環境問題やリサイクル関係研修会の講師として学校、諸団体に招聘されることも多い。 自社の環境対策 ◇製紙工場は河川と深いかかわりがあるが、当社は業界他社に先駆けて公害防止、環境対策に注力し、全国的にもモデルケースとの評価も得ている。 水質はもちろんのこと大気、振動、音響、臭気など万全の体制を整え、また平常の安全対策、教育訓練に努めている。 平成11年、豊前工場は環境関係ISO14001を取得、平成12年には大分工場も品質管理のISO9001を取得した。 ◇本社工場は大分市の中心部にあるため特に地域環境への影響に配慮して製造にあたっている。 排水、騒音、臭気対策など、設備の充実により負荷を最大限に減らしまた細心の注意を払い製造にあたる姿勢は地域より高い評価を得ている。 兄弟会社「日本フィルム(株)」製品も資源再利用、環境対策へ貢献 …リサイクル用具「安全グリップ付ポリゴミ袋」全国400以上自治体より指定 …水質保全用具「不織水きりポリ袋」 |