「ふるさとづくり'95」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

ファームインで新しい農村づくり
北海道鹿追町 鹿追町ファームイン研究会
 北海道鹿追町の「鹿追町ファームイン研究会」(代表・中野一成さん、メンバー17入)は欧州の農村で広く行われているファームインを取り入れて新しい農業経営に取り組む一方、フラワーロードづくりを進めるなど新しい農村づくりに挑戦している。
 鹿追町は十勝平野にある畑作や酪農を中心とした準農村。ファームイン研究会は平成元年にわずか4人のメンバーでスタートした。ファームインとは、都市の人たちを農村に迎え入れ民宿などサイドビジネスを経営して、農家の経営の多角化と安定化を図ろうとするもの。


大草原の小さな家

 軽種場生産を主体に畑作経営をしていた会員の1人は、カナダ視察を生かして自力でログハウスを作り牧場レストランを始めた。さらにコテージを建設し多くの宿泊客を迎え入れている。西上経営組合は、19年前に8戸の農家で農業生産法人化を図り、現在360ヘクタールの大規模な畑作経営をしている。野菜(キャベツ)生産を取り入れて産地化を確立した。さらに大型機械の効率的利用、経営管理のコンピューター化など徹底的な経営の合理化を図り、低コスト生産を追求している。農村の景観を生かし経営に観光部門も取り入れている。
 山岸農園は十勝の典型的な畑作農家で、新たにイチゴ狩りと花摘みを中心とした観光部門を経営に組み入れ、イチゴや野菜の直販、加工にも取り組む多目的ハウスを作った。
 活動は会員だけの取り組みから地域づくりへと広がり、平成3年から「農村をもっと美しく」とフラワーロードづくりを始めた。国道沿線の農家の協力を得てフラワーロードは総延長6キロに及び、町の大切な「観光資源」となっている。


都市と農村の交流が最大の収穫

 こうしてファームインを展開し、イチゴ園やフラワーロードづくりを始めたことによって町は然別湖に行く「通過する町」から年間17万人の客を迎える「訪れる町」に変わった。
 会では地域活動のネットワーク化も進めている。町内には然別湖でネイチャーガイドをしながら自然監視をしているネイチャーセンターや、乗馬を楽しむことのできるライディングパークなどのグループがある。今年はこれらのグループに呼びかけて「農村ホリデー推進協議会」を設立した。都市と農村の交流を広げるための会員制のファンクラブを作り、鹿追や十勝の情報を満載した会報を届けている。将来、都市の人を農村へ迎え入れるための潜在プログラムを充実させるための検討も始めている。