「ふるさとづくり'95」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
留学生とともに進めるコミュニティづくり |
埼玉県三郷市 三郷インターナショナルコミュニティ(MIC) |
三郷市は、東京都と千葉県に接する人口約13万人のベッドタウンで、その北部に位置する「みさと団地」に東京大学の大学院生を中心に、昭和62年ごろから留学生が住み始め、今、20数カ国、130人以上の留学生と100人を超える家族が暮らしている。「MIC」(代表・矢野操男さん、メンバー50人)は、平成3年5月に発足した。三郷という限られた地域での、数十人の日本人と留学生とその家族の小さな国際交流である。 留学生に対する生活用品の提供や生活相談 留学生の大半はバングラディシュやインド等アジアの人々で、幸福な場合は世話人が大学の研究室から付き添い、電気・ガスの手続きから生活必需品の買い物の面倒までみてもらえるが、最悪の場合は団地の空っぽの一室で震えながらの一夜を過ごすことになる。そうした彼らの生活のスタートを物品・精神の両面から手助けし、自分たちだけの世界に閉じこもらず日本人と共に交流できるようにするのがMICの活動である。 MICには「生活相談委員会」「事業企画委員会」があり、「生活相談委員会」では市民から提供された家具や電気製品等を保管し、新しい留学生に提供したり、出産のための病院の紹介、保育園の入園手続き、隣人とのトラブルや団地管理センターとの連絡等、日常生活でのトラブルを解決する相談や、宗教上の違いで特別に必要な買い物等の手助けを行う。 みさと団地の生活ガイドを発行 「事業企画委員会」では親睦を深め合うパーティーやスポーツ大会、バス旅行、祭り等を企画・参加し、心のふれ合う交流をしている。創立1周年には市外の留学生にも声をかけ、400人もが集まった国際カルチュラルフェスティバルを開催した。 また、事務局では言語・宗教・文化についての国際文化比較が主な内容の「VOICE OF MIC」、入居から退去までの手続きや病院などの公共施設や生活情報を地図入りで掲載した「みさと団地の生活ガイド」を発行したり、市民に留学生を紹介し、家族ぐるみで交流するファミリーフレンドの紹介も行っている。 留学生・日本人両者の時間調整が難しい、留学生と同世代の若い会員が少ない、活動資金も会費だけでは不足等の課題も多いが、共に行動し汗を流し、お互いに文化を理解し深め、誤った潜在意識を取り払うことで、初めて心の交流が実現すると確信している。三郷での生活が良い印象となって残れば、小さな国際交流は幾重にも膨らみ大きくなる。MICという小さな芽をこれからも大切に育てようと努力している。 |