「ふるさとづくり'95」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

ヘルシーアンドビューティー増坪
山梨県甲府市 増坪町地区の明日を考える会
 地域内には、「汚水最終処分場」や「ごみ焼却場」などの迷惑施設があるなど、数々の問題を抱える中で、それらの“マイナス要因をプラスの発想に”しようと、自治会役員十数人が中心となってアンケート調査などをもとに、地域の将来ビジョン「ヘルシーアンドビューティ増坪」を住民自身で描いた。甲府市「増坪地区の明日を考える会」(代表・深沢勇さん)で、会では今、このビジョン実現に向けて、着々と活動を進展させている。


迷惑施設との共存共栄

 甲府市の中心部から南に4キロほど離れ、農村地帯だった増坪地区も、今や新興住宅地に変貌している。地域内の150世帯は専業農家、兼業農家、非農家がそれぞれ3分の1を占め、今後は健康的な住宅地として発展していくことを希望する市民の多い地域である。
 それだけに、町の北側にある「汚水最終処分場」や南側の「ゴミ焼却場」という迷惑施設に反対する住民が多かった。しかし、反対していただけでは事態は一向に改善されない、と“迷惑施設と共存共栄”する道を住民が模索し始めた中から、事態は大きく動き始めた。
 平成元年5月、考える会がアンケート調査などをもとに地域の将来像を描いたビジョン、「ヘルシーアンドビューティ増坪」では、@ゴミ処分場の新設、A処理場に堆積したゴミの処理と公園広場の造成、B濁り川土手の改修とゴミ搬入道路の整備、C町内道路の花一杯、D埋め立て処分場建設協力と史跡の保存、E農業振興法の解除と宅地化の促進、F甲府市立病院誘致問題、などを軸に都市化を積極的に受け容れた将来展望を選んだのである。


女性の力で花の町内に

 こうして@は、老朽化した市のゴミ処理場を、最新の設備を持つ工場に建て替えることに市と合意し、平成3年に工事に着工、完成・稼働は7年の予定。Aは、未処理のゴミが1万トンの山をなす中で、埋め立て処理を提案し用地も用意し、埋立後の用地7000平方メートルを市民憩いの公園「平成広場」に造成した。Bも要望通りとなり、濁り川の土手に沿って小川を作りホタルの里にしようという計画も追加された。Cは婦人たちが中心で「花を愛する会」を結成、地域内を流れる蛭沢川の川岸に「水仙の花壇」を作り、チューリップやコスモスなども加えて、川岸に1キロ近いフラワーロードを造成した。Dは、ゴミの燃焼処理場の残灰埋立地を提供、埋め立て完了後は一大公園に生まれ変わる予定だ。E〜Fは、「農振」を解除し、病院の用地62000平方メートルを確保、いま建設が進められている。