「ふるさとづくり'95」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

グローバル・“ビッグひな祭り”勝浦
徳島県勝浦町 勝浦町地域づくり井戸端塾実行委員会
 阿波みかんの主産地・勝浦町も、みかん産業の斜陽化で過疎化は進むばかり。そこに平成3年、新とくしま県民運動推進協議会から町の活性化を狙いに、グループ結成の働きかけがあった。それに応えて、町内から集まった26人の男女の有志で組織されたのが、「勝浦町地域づくり井戸端塾実行委員会」(代表・殿川武男さん)である。同会は試行錯誤の末、家庭で眠っているひな人形に着目。“ビッグなひな祭り”を実現して意気軒昂である。


豪華絢爛3000体のひな人形

 ひな祭りは、全国的行事として毎年3月、女の子の健やかな成長を願って、家庭でひな人形を飾って祝う習慣がある。しかし、子供が成長してしまうと多くの家庭で飾らなくなり、人形は押し入れや物置で眠っていた。会員はそこに目をつけたのである。そういうひな人形を一堂に集めて飾ることを計画した。「ひな人形、眠りをさましなさい。ときめきの春、子どもたちに夢を!」と、新聞や広報紙等で呼びかけたのである。
 最初は町内中心から次第に広がり、全国から集まるようになった。それらの人形は、30〜40年前のものから中には100年以前の年代物、豪華絢爛の「御殿雛」まで含まれていた。こうして平成4年、初めてのビッグなひな祭りは、高さ5メートル、幅20メートルのピラミッド状100段の雛壇に、約3000体のひな人形を飾り、周囲四隅のミニピラミッドにも約2000体のひな人形が飾られて実現した。「ひな行列」は、町青年会のメンバーが扮した内裏様を中心に、町民自由参加の5人ばやしや3人女官、稚児行列など約200人からの大行列が、さまざまなパフォーマンスを競った。


ひな供養やひな市も

 イベントを重ねるうち、新しいアイデアも生まれている。祭りの最終日、夕暮れ迫る勝浦川で篝火の中、幽玄の「船渡御・ひな流し」が、感動のロマンをかきたて、古くなった人形の「ひな供養」やひな祭りにちなんだ菓子や町特産品を販売する「ひな市」も登場した。
 祭りを支えるのは、実行委員会を中心に子供会や青年会、婦人会、老人会、地域づくり友好グループなど延べ300〜500人に及んでいる。全国から送られてくる人形の方も、テレビや新聞で有名になり、毎年3000体にもなる盛況ぶりだ。また、欲しいというところには、逆に送って喜ばれている。国内だけでなく、イギリスの小学校をはじめ、アメリカのジャパンウイークやミネソタ、ニューヨーク、ロサンゼルス、ボストンと広がっている。