「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

いちごワインの特産品開発
北海道浜頓別町 砂金野菜振興会
 ウソタン川流域の住民としてここで酪農を営み、今は経営の第一線から退いたメンバーが生活に生きがいを求め、(1)家族や地城の人に役立つ活動を(2)この地域の良さを多くの人に知ってもらおうと「砂金野菜振興会」(代表・池田光子さん、メンバー15人)を結成し、野菜やいちごづくりを始めた。農家でありながら牛乳を生産することだけで、自家用の野菜もあまり栽培していなかったこの土地で、メンバーは大根、じやがいも等を低農薬、有機栽培で育てた。ふるさとまつりに出品すると、野菜は消費者から好感を持たれ、現在、宇曽丹健康野菜としてすっかり定着している。


支援受けて生まれた最北のいちご狩り農園

 メンバーは、消費者と交流の中で、新鮮な野菜に対する要望が強いことを知り、観光客にも農産物を提供しようと、砂金採掘公園に隣接する土地に、ふれあい農園づくりを計画、農業改良普及センター、浜頓別町等の協力・支援のもとに、ふれあい「いちご狩り農園」をオープンさせた。
 平成3年の開園以来、最北のいちご農園には、遠く九州からも訪れるようになり、現在90アールの農園に年間2、000人がやってくる。そして、地元の小学生と会員の家族を招待した交流会は、宇曽丹地区の楽しみな行事となっている。
 同会のいちご農園は、会の活動を支援する地域の若者たちの協力で栽培面積を広げてきたが、さらに活動を応援しようと一般サラリーマンや消費者等70人による後援会「砂金野菜振興会賛助会」も生まれた。


生涯現役で特産品づくりに挑戦

 農園を訪れる人たちとの交流活動は、酪農をリタイアしたメンバーにとって生きがいとなり、メンバー同士の気待ちのつながりも一層強くなって、いちごを原料にしたワインが特産品となって結実したのである。
 町の特色を生かしたワインにしたいという発想は、町広報紙によるラベルの公募、パッケージに浜頓別の代表的な風景を入れるなどの工夫をこらした。そして、「甘口いちご」「砂金入りいちご」「山ぶどう」の3本セットで商品化された。
 高齢化が進行する中で、生きがいの場を特産品づくりに求めて活躍する高齢者の活動は、子どもや孫たちに地域発展の夢を与えている。