「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

花と花壇づくりが市民交流に拡大
青森県十和田市 社会福祉法人・至誠会 救護施設・誠幸園
 心身に障害をもつ人の施設「社会福祉法人・至誠会救護施設・誠幸園」(園長・中野渡勇治さん、メンバー209人)は、施設利用者と20数世帯の地域住民が、発足当初から花壇づくりを展開してきた。この結果、主要道路は花で飾られ、住民との協調関係もできてきた。数々の賞を受賞したのも、地域への積極的な展開の現れである。30年を得て、今や障害者と地域住民がともに支え協力し合う、福祉の里となろうとしている。


花で結ばれた障書者と住民とのきずな

 昭和40年に開設した同園は、その当時から障害者が社会へ積極的に参加するためには、美しい地域づくりが大切であることを信念に花と花壇づくりを展開した。障害にめげず額に汗して道路沿いの堅い土をスコップで掘り起こす作業を続け、ついに誠幸園の周辺、国立公園十和田湖に通じる国道102号線、市のシンボルロード、官庁街通りに花壇を完成させた。
 春のパンジー、秋のサルビヤやマリーゴールドを総て、播種作業からはじめ、移植、定植、水やりにも懸命に取り組んできた。そして、育てた苗は、小・中学校や町内会にも無償で提供し、鉢の花は安価で提供し緑化活動に役立てもらい、「緑と太陽のあふれるまち」十和田市のまちおこし運動に貢献している。また、年1回の地域開放作品展示会では、住民の多くが誠幸園を訪れ、施設を利用している入たちを理解する機会となっている。


結実した花による社会参加

 これまでに「十和田市花壇コンクール最優秀賞」をはじめ、「青森県のあすを拓くあすなろ県民運動推進協議会の最優秀賞」、「花と緑いっぱい運動特別賞」、さらに地域住民との交流が認められて「小さな親切実行賞」、「全国花いっぱいコンクールの優秀賞」、道路愛護運動において「土木部長賞」、「県知事賞」、緑の都市賞の緑化活動部門において「読売新聞社賞」など数々の賞に輝いている。
 障害者が、自信と生きがいをもって暮らせる地域社会の構築はもはや夢ではなく、どこにでもありふれている社会の光景であるが、花による社会参加を積極的に推進している活動は余り多くはない。今、花による地域環境の美化運動は、注目をあび見学や交流の機会が増えている。こうした活動は青少年にも波及し、実習や慰問、施設交流となって障害者の励みになっており、美しい花のあるふるさとを誇りに活動を続けたいとしている。