「ふるさとづくり'96」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
空き缶散乱防止はデポジットで |
秋田県秋田市 秋田市でデポジットをすすめる会 |
ものを大切にする運動を進めていた秋田市内の生活学校は、空き缶の散乱防止とものを大切にする運動推進のために、市内各種集団と協力し秋田市でデポジットをすすめる会(代表・嵯峨昭子さん、メンバー184人)を結成、公園などでミニ・デポジット等を実施、散乱対策としての効果を調べ、また市民へのPRをしてきた。会ではこうした活動を通じ、真の豊かさを持った秋田の市民性を育てることが大きな目標となっている。 多くの市民・業界団体が加入して 秋田市内の生活学校はものを大切にする運動に取り組み、資源リサイクルシステムづくりを目標に活動してきた。50年代半ばから、そのひとつとして「空き缶のデポジット制の確立」がテーマとなった。デポジット制とは、缶に預金をつけて販売、缶返却時に金を返すという制度。缶の散乱防止に効果があるといわれている。まずは、市民にこの制度を体験してもらおうと、市内の公園で実験的にミニ・デポジットを実施することになった。実施にあたり市観光協会との話し合いをすすめ、会発足のきっかけとなった。 市内各集団への参加要請、また組織づくりが進められ、多くの市民、また業界団体が参加した。59年の発足後は会がテーマに添った各運動を展開している。協賛金を出してくれる団体も多く運営資金に当てており、運動の影響は市内だけでなく県全域に広がっていった。 回収機設置で散乱缶が減った 当初、会では秋田市独自の空き缶散乱「規制条例」制定を目的にした。先進地を見学、それを参考にし、秋田市内の散乱状況を調査、市内への空き缶回収機の設置を要望してきた。しかし、市からは前向きの回答はなかった。そうした時、ある企業から缶を入れると図書補助券1枚が出てくる回収機を寄贈された。そこで、会では100枚と100円図書券1枚と交換するというシステムで、市内観光地に置いた。 交換は月1回、市内生活学校が持ち回りで担当、引き替え時にチラシを配布するなどして、デポジットの広がりにも努めてきた。会場は訪れる人も多く、缶の散乱が確実に減ってきている。高校生が学校放送のため取材に訪れたりと、子どもたちにも影響を与えている。容器包装リサイクル法の制定など、デポジットを取り巻く環境にも光が見えてきた。すすめる会では、これまでの活動と社会を見据えながらさらに、市民のなかに共感の輪が広がるよう働き続けていくことにしている。 |