「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

木炭まつりで地域活性化
岩手県陸前高田市 生出地区コミュニティ推進協議会
 陸前高田市の中心部より北西へ約17キロ、面積の90%が山林と原野で占め、農業と林業が主幹産業の生出地区は、6集落からなり戸数123戸、人口450人で過疎化が進んでいる。「生出地区コミュニティ推進協議会」(代表・佐藤好治郎さん、メンバー120人)は、昭和55年に発足。翌年市が建設した生出多目的集会センターを拠点に、健康・教育・生活・防犯・産業・ふるさとの6専門部会の活動がある。とくに、産業部会が中心に実行委員会をつくり開催する「紅葉の里・生出木炭まつり」は、昨年で9回を数え年々盛況を極めている。


紅葉の里・生出木炭まつり

 この地区は「過疎化と老齢化が進んでいるのにこのまま何もしないで見ていて良いのか」という住民の声に、話し合いの結果30年代後半まで木炭生産が盛んであったが、石油時代の到来で一時衰退していた木炭を題材に、「紅葉の里・生出木炭まつり」を開催することになった。このまつりは「近年見直されるつつある木炭産業を復活を促進し、木炭を通じた村おこし事業で活力ある生出の里づくり」をと、昭和62年10月から毎年実施している。
 最初は、手探りの開催であり来場者の数も心配であったが、予想を上回る参加者で賑わった。2回目からは前年度の実績を参考に開催してきたが、年々参加者は増え、昨年は市内に大きなイベントがあったにもかかわらず地区住民総出による心のこもった手づくりのまつりに2,500人と実に地区人口の5倍の人が訪れ、秋の1日を満喫したのである。


多彩な趣向を凝らした手作りイベント

 まつりの会場では「木炭の魅力拡大事業」と銘打った、素人の川魚炭火焼き大会や木炭自動車「たんたん号」の展示、炭火で焼いた田舎おにぎり、いものこ汁の昼食サービスを行うのをはじめ、木炭、樹木、写真、パネル、児童作品などの展示コーナー、木炭や木酢液、粉炭、木灰、農産物、山菜、ばあちゃんのキビダンゴなどの即売コーナー、焼き魚、焼き鳥、焼きとうもろこしといったグルメコーナーも開設。
 また、突き鉄砲や弓矢、竹トンボなどの昔の遊びコーナー、隣を流れる生田川ではニジマスやイワナのつかみどり、アトラクションでは海彦山彦の物語が演じられる神楽、剣舞、鹿踊りの披露、さらに餅まきと多彩なイベントを用意しての実施である。
 この祭りを契機に「生出木炭」のブランド化を図るため、オリジナルパッケージを作成、贈答用の郵パック販売、竹炭の生産販売も消費拡大をめざしている。