「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

世界一の夢追いかけて
新潟県糸魚川市 根知むらおこしふるさと協会
 戦国時代、甲斐の武田信玄に越後の上杉謙信が塩を送った「塩の道」や、日本列島を形作る糸魚川・静岡構造線(フォッサマグナ)の露頭が残る根知地区。ここにも後継者不足、老人世帯の増加など過疎問題が大きくのしかかっていた。


コミュニティ計画づくりから

 それを打破しようと「21世紀へアタック21」をキャッチフレーズに、各種団体のまちづくりに関心のある有志が参加し、根知むらおこしふるさと協会(代表・横沢欽三さん、メンバー28人)は昭和63年に活動を始めた。会には、21世紀を展望しグローバルな視点のもとに企画立案するATK(アタック)部、イベントを通じ地域の活性化・PRを計るイベント部、特産振興を通じ地域のPR・地域産業の発展を目指す特産部の体制で、今後の地域の計画づくりに取り組んだ。各部ではお互いの夢を語り合い、平成2年に「世界一の夢を追いかけて!」をモットーに、歴史や自然を生かした地域の活性化に向けてのコミュニティ計画をつくった。


「塩の道」の歴史を生かす

 この計画は住民の夢や創意も取り入れながらさらに具体化され、実施されていった。その1つが「塩の道」の歴史を今に生かす活動だった。まずは、長野県までの塩の道を歩く塩の道ハイキングが始まった。これはハイキングをしながら、信州との交易の歴史の重さを再確認する企画。毎年子どもから大人まで、しかも県外からも参加者を受け入れるイベントになっている。また、昭和40年代から地域の青年により収集されていた塩の運搬に携わった歩荷(ポッカ)や村の生活に関わる民具など、展示するために開いた「塩の道資料館」の活用、PRにも努めた。
 自然を生かした活動では、山や川の地形を利用したコースのある「モトパーク山王」というモトクロス場ができた。モトクロス場では県内外のレーサーが参加してのバイクレース大会を開いており、観光客も多く集まるようになった。
 その他にも、絵本の原画展の開催、ふるさと名所かるたの作成、無形文化財「おててこ舞い」の伝承など、多様な活動に取り組んでいる。こうしたむらづくりやイベントにはとくに、20歳代の若者が活動に参加し重要な役割を果たしているのに見られるように、現在では活動を通じ住民自身が地域に愛着と誇りを持ち、住民1人ひとりが個性を発揮し、相手の意見を尊重しながらのまちづくりが根知に根づいている。