「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

古代の里のまちづくり
佐賀県唐津市 古代の里の鏡会
 佐賀県唐津市の鏡地区は、古代の遺跡が点在し、名勝虹の松原と万葉歌に歌われた鏡山を擁する歴史の町である。この貴重な文化財と美しい自然を守りながら住みよいまちをつくっていこうと、平成元年3月、「古代の里・鏡会」(代表・山崎定幸さん、メンバー29人)が発足した。地域の環境美化や、遠く海外にも目を向けた活動は、少しずつ広がりを見せている。


「古代の里・鏡会」の発足

「鏡神社の広い神域に、アパートが造られる」−−。そんなうわさが10年ほど前、鏡地区に広がった。結局この話は実現しないまま立ち消えとなったが、これをきっかけにふるさと鏡を住みよいまちにしていくことを真剣に考えようと「古代の里・鏡会」が発足した。
 会には、鏡を愛する人なら誰でも入会できる。毎月の定例会は当番制で、会費1000円を払って飲食をともにしながら、和気あいあいと話し合いができる。
 活動の目標は、(1)虹の松原の松を松喰い虫から守る努力をする。(2)遺跡や史跡の保存と清掃、(3)鏡山からの美しい景観を多くの人に楽しんでもらおう、(4)未来に残す地球環境の浄化に努力しよう、この4つを柱に、様々な実践活動が行われている。


次々に生まれるアイデアに取り組む

 まず手始めに、商店や企業の協力を得て、まちに点在する史跡・遺跡のガイドマップを作成した。でき上がったマップは、公民館、事業所、商店に置いて、利用してもらっている。また、マップとともに道案内板の必要性を感じた会員たちは、手作りで案内板を作成し、設置した。この活動は行政を動かし、後に市によって全市内に表示板が設置されるようになった。さらに鏡山の遊歩道木段(健康木段)造りにも取り組んだ。自動車登山道とは別に、森林浴をしながら、歩いて登る木の段々を造ろうという計画である。風倒木や間伐材を利用して、1段1段杭を打ち込み、250段のコースを造った。
 家庭から出るごみの減量にも取り組もうと、「みんなでゴミのことを考えよう大会」を開催。アンケート調査と、ごみ問題クイズを実施。校区の運動会にもごみ問題を考えるパレードを行うなど、市民にアピールを続けている。
 他にも虹の松原の植樹、海岸清掃、映画上映会の開催、フィリピン・ネグロス島の子どもたちの里親になる運動への協力など、その活動は広がりを見せ、今後も次々に生まれる新しい夢にチャレンジしていこうと取り組んでいる。