「ふるさとづくり'98」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
きらめき ゆらめく ホタルの星空 |
秋田県秋田市 蛍実行委員会 |
秋田市の顔である千秋公園(秋田城址)には、20年前までホタルが多数生息していたという。環境をきれいにしホタルを復活させ、鑑賞会などを実施してまちの活性化を図ろうとしているのは、蛍実行委員会(代表・砂原和文さんメンバー92人)である。 市内のホタルマップを作成 この活動のきっかけになったのが、平成2年に20〜30歳代のさまざまな職種の若者によるまちづくりの提言集団「クラブ21」の発足であった。メンバーは秋田市の歴史などを調べるうちに、千秋公園のホタルの情報を得た。3年後、ホタルの復活を願い、クラブー21以外の協力者も参加して、蛍実行委員会が結成された。 会では、ホタルを通じて地域おこしだけでなく、市内の環境浄化、他町村との交流にも取り組むという目標をもった。早速、活動が始まる。市民から市内のホタル生息地の情報を集め、市環境行政と協力して、ホタルマップを作成した。その後の状況についても、追跡調査を続け、将来はカワニナを放流し、河川に沿ったホタルロードづくりを目指している。また、今後のホタルの生息条件を調べるための水質調査を5年間にわたり調査している。 ホタルのいる環境の楽しさにふれて 調査活動とともに、実際、千秋公園にホタルがいたらどんなに楽しいか、みんなに体験してもらおうと、毎夏、実施しているのがホタル鑑賞会。鑑賞会ではホタルの鑑賞のほか、野外映画会、子ども縁日コーナー、演奏会、子どもの絵画展などが開かれ、ホタルのいる夏の夜の楽しさを体験することができる。また、会場では秋田の伝統行事である竿灯の演技が披露され、自然の光と伝統の光の調和をたんのうできる。 自然、資源やエネルギーも大切にした地域社会でないと、ホタルはよみがえらせることは出来ないと、資源ゴミの再利用実演、クイズの実施、ソーラーバイクの展示などを通じて、市民の開心を高める機会ともなっている。 これまで鑑賞会を5回実施しているが、来場の子ども、大人各500人から、毎年同じ質問をしている。その内容は、現在の千秋公園と、ホタルが千秋公園で飛ぶようになった場合の千秋公園への愛着度、ホタルを見た場所などである。ホタルが飛ぶようになったら来たいという人が多い反面、市内でホタルを見た場所が年々減っている傾向があるなど、さらに運動の拡充の必要性を感じさせるという。 調査、イベント、こうした活動をメンバーの熱意が組み合わせ、ホタルのほのかな輝きが、今、市民の心に大きな光を灯し始めている。 |