「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

竹林保全と竹炭を特産品に
山梨県身延町 身延竹炭生産組合
 地域で荒れ放題となっていた竹林を保全しながら、竹炭焼きに取り組み、竹炭の有効活用や身延の特産品として売り出し成果を上げているのが、平成9年10月任意組合として発足した「身延竹炭生産組合」(代表・片田義光さん、メンバー52人)である。これまで、簡易窯で竹炭研究や花いっぱい活動を行っていた高齢者グループのメンバーが、平成9年4月、京都大学で開催の竹炭研究者交流会に参加したのを契機に、身延竹炭研究会を発足、町内の高齢者に呼びかけたたところ、関心が高く52人が集まった。そして、組合組織に発展したのである。


竹炭身延窯が完成

 町内の、戦後炭焼き名人として活躍した長老の指導で、本格的な土窯をつくることにした。幸いメンバーに町会議員もおり、窯や小屋づくりに町の補助金も出ることになった。
 窯づくりは、総ての会員が初体験、土をたたいてつき固める作業は重労働である。準備から約1か月、素晴らしい土窯と小屋が完成「竹炭身延窯」と命名した。
 最初の窯に火入れして2日2晩、白い煙たなびく光景に会員や地域の人びとも強い関心を寄せていた。火止めして4日、初の窯出し、良い炭ができたと炭焼き名人の1声に、大勢の会員が喜びの歓声を上げた。これが、竹炭づくりの始まりである。
 その2か月後、外務省海外広報課の取材協力要請があった。それは、日本の社会文化や諸事情を海外に広く紹介し、世界の諸国に望ましい対日感の醸成を目的に、毎月テーマを決め、ビデオで情報発進するための取材。テーマは「竹の有効活用」であった。取材内容は、広い竹林にチエンソーが響き、太い孟宗竹が次々切り倒される、軽トラックに積み窯元へ運ぶ、自動切断機で65センチに切る、割る、火入れ等の作業であった。
 完成したビデオは、竹を板に開発した会社、熊笹を健康飲料に開発した製薬会社と身延竹炭生産組合の竹炭づくりで、青竹の姿は実に美しく、映し出されていた。町文化会館で行った試写会は、熟年パワーの町おこしとなって大きな反響を呼んだ。


仏都身延の秘宝竹炭特産品づくり

 いまの夢は、竹炭を、仏都身延の秘宝とし「身延の特産品」にすることである。現在、身延山門前町の旅館、お土産物店、駅前商人通り、農協直売所等で、人気の商品「特産品」として売り出されていて、商工会や他町の温泉郷にも話題は広がりつつあり、念願は徐々にかないつつある。
 さらに、竹炭の活用を研究するため、プレハブで「身延竹炭研究所」を設置した。
 環境面での活用では、水道水の浄化、部屋の浄化、トイレ・冷蔵庫の防臭、竹炭粉を使用した野菜づくり等研究に励んでいり、婦人部が開発した「竹炭安眠枕」は反響を呼んでいる。
 今後の課題は、竹炭を活用し電磁波を防ぐための研究開発があり、他県の研究グループとの情報交換、交流を深めている。