「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

夢をさかなに、手作りを合言葉に
長野県安曇村 うえんてら かんぱにぃ
 安曇村は、上の地区に、乗鞍高原温泉、白骨温泉、北アルプスのきれいな上高地に恵まれ、年間350万人もの観光客が訪れ活性化している。しかし、下の4地区はこれと言ったものもなく、中でも稲核(いねこき)地区は、戸数110戸、住民300人前後で、ほとんどが村外に出て働いている状況である。


自然との交流体験事業

 こうした現状を打破しようと、地域の青壮年有志が、間伐のカラマツ材で丸太小屋を建て、ここを活動拠点に、村や地域の 活性化を図ろうと、平成3年に「うえんてら かんぱにぃ」 (代表・藤広致行さん、メンバー11人)を結成し、山の幸の宅配や自然との交流体験事業を企画する等活動を続けている。
 メンバーは、各々仕事を持っており土・日曜日を利用し、活動拠点となった稲核地区「上の平」(うえんてら)の間伐や下草刈り等、20年も荒れていた森林の整備に取り組んだ。
 この山仕事は、苦しさ、楽しさ、気持ち良さがある。こうした気分を都会の人びとに体験させる「うえんてらメイト」を企画し、新聞社の協力を得て中京方面に会員募集記事を掲載した。
 最初は、安曇村周辺の豊富な山菜、キノコ、果物等四季折々の山の幸の宅配でした。それから、会員への近況報告のため、毎月1回「うえんてら通信」を発行したり、交流を目的に、春のキノコ駒打ち体験、秋の収穫祭りをメインに実施してきた。
 また、交流体験事業は、「うえんてらメイト」の他「今、田舎がおもしろい」をテーマで募集、3泊4日の日程で炭焼き、間伐枝打ち体験、それに、地元中学生を対象に「山の仕事体験学習」や「自然アートの集い」等を実施している。
 都会の子どもたちが、「山の木には、なんで名札がかかってない」のと疑問視したり、「沢水でのどろんこ遊び」、「山って気持ちがいい」と汗を拭く地元の中学生等の姿を見ると、もっと自然との触れ合い体験を計画しなければと考えている。


茶店・喜山路をオープン

 昨年7月、これまでの活動が認められ、県、村補助で林産物加工販売施設「茶店 喜山路」(ちゃみせ きさんじ)をオープンすることが出来た。建物は補助建設であるが、店内のテーブル、イス、いろり等はメンバーが半年かけて作成設置した。
 この施設の加工場では、まんじゅうを生産し、各観光地でも販売され喜ばれている。店内売店では、まんじゅうを始め、地元の特産物、手づくりの加工品等を販売、生産者に喜ばれるような運営を目指し努力を重ねている。この、施設の建設によって少人数ながら働く場所ができたこと、店が核となって「うえんてらかんぱにぃ」のような、活動グループが4つも誕生、地域の活性化につながっている。今後も、上の平の森林整備、キノコや山菜の栽培に力を入れると共に、都会の人々が泊まれる施設・体験丸太小屋、「茶店喜山路」周辺には、ワラ細工や燻製、炭焼き体験店の建設等を計画している。