「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

村芝居の復活、新聞発行等で気楽に地域おこし
兵庫県加美町 加美町箸荷地区消防団
 村を守っていくためには、消防団活動は欠かせない地域の活動で、活動内容は、火元・機械器具の点検、定期訓練、年末警戒等、消防団の出動日数は、年間100日を越える。しかし、そればかりではない。村芝居の復活、集落新聞の発行、悪質商法対策のビデオの作成し、町の駅伝大会等への参加。消防団として、地区民にとって楽しく誇りの持てる村おこし運動を多彩に展開しているのが兵庫・加美町箸荷地区消防団(代表・今中一富さん、17名)である。


多彩な広報活動で地域に定着

 同地区は、60戸、275人の集落。団の定員が20名だが、若者がいないため、消防団員は町・農協・森林組合職員、会社員、自営業、トラック運転手が主役。まとまりがいいこともあって、みんなで集まると「一緒に何かやろう」となって、村おこしを展開している。
 ここの特徴は、単に消防訓練だけでなく、広報活動を通じて防火・防災を訴えていることである。10年前から町の主催する駅伝大会には毎回参加し、「火の用心」の鉢巻きを締めて走る。また元旦には東播磨の最高峰・千ケ峰山頂の出初め式には隣町の消防団と共に綱引き、ハシゴ乗りをしている。こうしたイベントは、集落新聞「箸荷だいすき」を通じて区内の全戸ばかりでなく、交流のある町内や全国の集団にも送られている。
 また、この近辺には、主婦やお年寄りをねらった悪質商法が出没している。そこで消防団では、町消費者協会と共同企画で「悪質商法対策ビデオ」を作成した。もちろん、悪質業者役は消防団員が熱演、町営テレビを通じて放映して被害の防止に努めている。


村興し、人興しを願って村芝居を復活

 箸荷地区では、20年ほど前まで青年団が芝居を演じて村人たちを楽しませていた。町内でも1番最後まで続いていたものだが、途絶えてしまった。「あんな芝居をもう一度見たい」「復活してはどうか」という声があがって、消防団として、平成5年に15年ぶりに復活させた。毎年秋に公民館で行われる公演は好評で、昨年からは町内の老人ホームの慰問も加わり、消防団の名前から取った劇団・箸消として正式に結成された。秋の公演のための練習は2か月にも及ぶ本格的芝居である。公演するごとに拍手喝采はもちろんのこと、「おひねり」まで飛ぶ好評ぶりである。
 消防団のモットーは、消防団活動は地域づくりの1つの手段。この地区で生きている証として、みんなが団結していくことをあげている。しかも地域に生きていくことに誇りを持って活動していくためには、自分たち自身も楽しく、地区民も楽しめることをあげ、日本消防協会が自治体消防50周年を記念して作成されたビデオに出演したことをきっかけに、「箸荷寄席」を始めようと計画している。