「ふるさとづくり'99」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
“ケナフ”…1粒の種から花開く願い |
広島県安浦町 広島ケナフの会 |
地球の温暖化など、世界的な規模で進む環境破壊は、人類の未来に暗い影を投げかけている。そんな中で、白い可憐な花をつけるケナフという1年草の植物が木材に代わる紙の原料となり、大気の浄化能力にも優れているなどの効用から、ケナフで環境問題に取り組む活動が各地に広がり始めた。その元になっているのが「広島ケナフの会」(代表・木崎秀樹さん、メンバーは、法人を含め約700人)で、平成8年5月に発足した。 木材の代替から大気浄化までするケナフ 高さ3〜5メートル、茎の直径2〜5センチほどのケナフから木材資源に代わる紙の原料が得られ、はがきや名刺、カレンダー、ショッピングバッグ、ティッシュをはじめ、接着剤不要のシックネス住宅用建材ボードや壁紙、衣類やボタンなど、開発が進むにつれて製品の種類は次々に広がっている。 ケナフは、また光合成能力に優れていて、炭酸ガスを多量に吸収して大気を浄化する。つまり、いま問題の二酸化炭素濃度の高まりによる地球温暖化の防止にも役立つのである。 ケナフはしかも、栽培範囲が広く、短期間で収穫できるなどの栽培し易い植物という利点を生かして一定量を確保し、製品のコスト削減を図る、というねらいから取り組んだケナフの会だが、活動は予想以上の広がりをみせた。 人々の共感を呼び急速に広がるケナフ 安浦町の町おこし運動としてスタートした広島ケナフの会だったが、今では、活動への共感や人脈を通じて、急速に各地に波及している。愛媛や鹿児島、静岡、兵庫、熊本、和歌山などでケナフの会が発足。学術的な立場で研究する協議会や研究会も生まれている。 9年の「第14回全国都市緑化ひろしまフェア」では、大勢の参加者にケナフを紹介するチャンスが与えられ、参加していた多くの企業からも、自社の販売物にケフナ製品の使用を約束してもらうことができた。また同年11月には、全国各地から参加者を集めて、2日間の日程で「第1回ケナフサミット」を安浦町で開き、マスコミなどを通して大きな反響を呼んだ。 ケナフの会は、今後も活動の柱を(1)ケナフ植草で大気の浄化・地球温暖化防止、(2)ケナフを使った環境学習、(3)ケナフを素材にした新商品の開発の3点に置いている。中でも、環境学習にはより一層の力を注いでいくことにしている。9年には、小・中学校300校にケナフの種を寄贈した。 10年になって、学校以外で障害者作業施設(作業所)700か所にケナフの種子を贈った。施設が独自の手漉き葉書や工作品を商品化して、運営資金の足しになるよう願ってのものだ。 また、ケナフ5百万本の植草祭を初め、「第2回ケナフ2DAYS─ケナフサミット、ケナフウォーク」、収穫祭、高さ・太さコンテスト、手漉きクリスマスカード・年賀状大会、チャリテイカレンダー展など、多彩なイベントを計画している。 |