「ふるさとづくり'99」掲載 |
<個人の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
生きがいを町づくりに託して |
福井県武生市 飯田幸雄 |
約1400戸、5100人が暮らす味真野地区は、武雄市の中心から東へ8キロ、山麓に開けた緑豊かな自然環境と、万葉集などのゆかりの地として、古代から中世にかけての史跡も多く、歴史と文化の香り高い土地でもある。飯田幸雄さん(67歳)は、昭和50年に同地区蓑脇町の町内役員に選ばれて以来、現在までの23年間、壮年団の結成をはじめ、数多くのまちづくりリーダーとして、また、まち起こしの仕掛け人として活躍してきた。 郷土愛・熱意・問題意識を持つ住民に 壮年会結成に参加した飯田さんは、子供会から老人会まで、各種団体間の交流と連携を密接にするまちづくり実行委員会を組織して、実行委員長に就いた。平成3年には、区長に就任。「住みよい地域づくりは自分たちの手で」をモットーに、5年計画で河川敷の道路1.3キロに桜と紫陽花を植えた「花と緑の公園」は、町民たちの憩いの場として親しまれている。 4年には、町民の永年の努力が実り、念願の「ふれあい会館」が地域にオープン。地区や各種グループの集会はもとより、カラオケなどでふれあいやコミュニケーションを図る場としても利用されるなど、いつも賑っている。この会館建設も建設委員会を組織して、飯田さんが委員長となって取り組んだ。 飯田さんが、区長就任と同時に申請していた「時水の里」が県の名勝に認可されていたが、「緑と花の町・時水の里」をキャッチフレーズにPRに努めた結果、平成8年、環境庁が選ぶ「日本の音風景百選」に選ばれ、観光名所となっている。 5年4月、味真野地区21集落の区長会長と明るい町づくりの会長に選任された飯田さんは、地域づくりの目標を、「郷土愛と熱意と問題意識の高揚」において、人びとの「やる気」を喚起し、市の花・菊にちなんで菊トピア味真野協議会を組織し、協議会長として菊栽培を盛り上げ、10年5月に「たけふ万葉菊花園」の誘致に成功。各集落には花壇が新設され、地区民の手で県道1.5キロのコスモス街道も完成した。 明日のまちづくりを「味真野物語」にまとめ 市の「都市マスタープラン」策定に合わせて、積極的に地域住民の参加を呼びかけ、9年6月、「明日の味真野の構想づくり策定委員会」を発足。住民の声を生かして、地域が求める将来像を創ろうと、地区住民が主体となって協議やワークショップ、構想懇談会などで意見交換を行いながら真剣に検討を重ねた結果、中間報告「味真野物語」をまとめて市に提案した。 「明日の味真野の構想」は、自然環境や風景を大切にする「景観」、訪れる人を快く迎える「観光」、住みよいまちを創る「生活・環境」を3本柱に、それに準ずる11の方針、50の物語などにまとめたもの。その構想は既に実を結びつつある。1例として、豊かな自然や万葉の里ゆかりの庭園や万葉歌碑・神社仏閣などの万葉散歩道コースの実現や、味真野苑(越前の里)や菊花園を生かした「万葉の里」のまちづくりも近い。 |