「私たちの生活学校」141号掲載
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公募委員に参加し、分別収集に積極的に発言
福井県・丸岡町 梨の郷生活学校
 福井県丸岡町の梨の郷生活学校(代表・山崎冨美恵さん)では、町がゴミの分別方法の変更を計画していることに伴い、住民に対するアンケート調査、先進地の視察、さらに検討委員会に公募委員として参加するなかで、より良い分別収集のあり方について行政や住民とともに検討を加えている。


 丸岡町では、家庭からのゴミが増大し、廃棄物の処理費が年々増大するなかで、家庭ゴミの減量・再利用をはかるために、平成16年度から、これまでの6分類18品目から6分類24品目に細分化することなどを計画していた。あわせて、資源ゴミ集積所の数の変更も計画していた。具体的には、古紙、プラスチック類、空き缶、びん等の資源ゴミについては、従来は、およそ60〜70世帯に1か所の割りで収集場所が設置されていたが、今後はおよそ、220世帯に1か所程度と収集場所数を4分の1程度に減らすこと(燃えるゴミの収集場所数は従来どおり)が計画されていた。そして、14年から、町内の3地区をモデル地区に指定し、試験的に新しい分別方式で収集をすすめていた。
 また、これと並行して、町では、平成14年9月に、モデル地区の代表者、事業者、学識経験者などを委員とする「丸岡町分別収集体制検討委員会」を立ち上げ、収集の具体的なすすめ方について検討を加えていった。


モデル地区住民への調査

 このようななかで、同校が最初に取り組んだのは、モデル地区として、新しい分別をすすめている3地区の住民100人に対してのアンケート調査。収集場所の位置、収集回数・時間・曜日などについての住民の意見をたずねた。収集場所については、「今までどおりでよい」が86人、「近いほうがよい」が14人と、現在の収集場所で良いとした回答が多かったものの、実際に収集場所まで、どのような方法で資源ゴミを運搬してくるかという質問に対しては、半数近くの49人が「車で」と回答し、「徒歩(一輪車を含む)」は20人、「自転車で」は10人、さらに「他の人に依頼」してという回答も5人の人から寄せられていた。収集時間については、「今までどおり」で良いとしたものが、86%をしめた。しかし、具体的な意見としては、「収集場所が遠すぎる、収集場所をもっと多くすべき」、「とくにお年寄りが、遠い距離をかさばる資源ゴミをもって運搬するのは困難」などの収集場所の少なさを問題にする意見もみられた。さらに、「収集時間が朝の6時から8時となっているが、この時間帯は、通勤・通学の家族を抱えている若い人たちにとっては忙しい時間帯ではないのか」などの意見が寄せられていた。
 この調査と並行して、同校では、ゴミ分別収集の先進地である、県内の鯖江市を訪問。分別の状況、集積所と世帯数のわりあい、さらに分別品目を増やすとき、市行政が住民に対してどのような周知方法をとったかなどをこと細かく聞き取りをした。


委員会の協議事項について事前に学習会を開催

 同校では、アンケート結果や先進地視察から得られた内容を委員会に積極的に反映していった。委員の内訳は3モデル地区から各3人ずつで計9人、区長会代表、事業者、学識経験者が各1名。そして公募委員が3人で計15人。同校では、代表の山崎冨美恵さんと木村幸子さんの2名が公募委員として参加した。
 委員会は、都合5回開催され、平成15年1月に提言書をまとめた。この過程のなかで、同校としては、検討委員会が開催される前に学習会を持ち、委員会でどのような発言をしていくかについて検討を加えていった。
 そのなかで、とくに問題になったのは、アンケート調査でも出されていたように、決められた日時、場所に出せない人と高齢者への支援の問題。協議の結果、提言書では、@高齢者など集積地まで持っていけない人については、各地区で協力体制をつくること、A決められた時間と場所に出せない人のために、ストックヤードの設置を検討すること、B収集時に分別の指導にあたる分別指導員については、1集積所あたり、5人は確保すること、などが盛り込まれた。さらに分別指導員は、分別の方法や出し方を一人でも多くの住民に理解してもらうためにも住民全員が輪番制とすることが望ましい、あるいは、再生処理の過程などを説明し、分別の必要性を住民に啓発することなども盛り込まれた。


一般住民への環境フォーラムを開催

 同校では、この提言書を提出した翌月の2月に町民の参加を得て、「美しい地球を子供たちに―ゴミ問題を考える」と題した環境フォーラムを開催した。このなかでは、町役場の担当課がゴミの現状について報告するとともに、同校のこれまでの活動を報告し、いつでも出せる収集場所を設置することなどをこの場でも提言していった。
 その後、このストックヤードについては、町は、設置することを決め、現在、その場所の選定にあたっている。
 山崎さんは、「分別収集することだけでなく、今、ゴミとなるものをお金を出して買い、それを税金で回収し、そして再生している。今後は、発生抑制に向けた活動を行政や住民と、ともにしていきたい」と今後の活動の意気込みを語っている。