子どものための地域活動 シリーズ2
子どもの『空間』づくり −子どもの居場所を求めて−
はじめに
 子どものための地域活動検討委員会(座長・松田宣子氏)では、昨年度「子どものための地域活動シリーズ1」として「子どもたちの食環境」を作成いたしました。

 引き続き、松田宣子氏を座長に委員会を設置、今年度は「子どもの『空間』づくり」の問題について検討協議してまいりました。

 今回「空間」という言葉を、「居場所」に近い意味合いで使っていますが、これは子どもの居場所をより広く捉え、児童館や遊び場のようなハード面と、心のよりどころとなるような友人や地域のおとなの存在などソフト面との両面の整備をめざしたいとの思いからです。

 平成14年度から公立の小・中学校では、週5日制が導入され、表面的には子どもたちが自由に過ごせる時間が増えるかのように思われます。  

 しかし、現実は、学習内容の削減に伴なって、塾や家庭教師など学校外での学習にますます重きが置かれ、子どもの自由な時間や空間は以前にも増して少なくなるのではないかと懸念されています。

 一方では、コンビニや繁華街をうろつく子どもたちの問題行動などからも「空間」の重要性は明らかとなっています。

 本書は、地域活動において、こうした課題について学ぶ際のハンドブックのひとつとして活用できるように編集されています。

 第1章では、子どもたちの現状を明らかにし、第2章では、自然環境を活用した空間づくりなど具体例をあげて解説しています。第3章は、ワークショップの手法を中心にした活動の進め方を紹介、また、第4章では生活学校運動としてどのように取り組んでいったらよいかについて提案しています。

 本書が生活学校の皆さんだけでなく、より多くの方々にお読みいただき、子どもたちの空間を創り出していくための参考となれば幸いです。

 最後に、諸先生方にはご多忙のところを企画から執筆まで多大なご協力いただきました。ここに心から謝意を表します。


財団法人 あしたの日本を創る協会 

【子どものための地域活動検討委員会】(五十音順)
委員 木下  勇 千葉大学園芸学部助教授
委員 後藤 憲子 ベネッセ教育研究所研究員
委員 鈴木 雄司 杉並区児童青少年センター事業係長
座長 松田 宣子 フリージャーナリスト